FX投資の外貨預金に対する優位性

FX(外国為替証拠金取引)と外貨預金は「外貨を買うリスク投資」としては似ていますが、FXは「買い(ロングポジション)・売り(ショートポジション)」の両方の取引ができるのに対して、外貨預金は「買い」しかできません。FXは「テクニカル分析(チャート分析)・ファンダメンタルズ分析」で上昇トレンドと下降トレンドの転換点を適切に予測できれば、「円安」だけでなく「円高」でもショート(売り)で利益を出せます。しかし、外貨預金は基本的に外貨を買って一定期間、保有しておくだけの投資ですから「円安」に外貨レートが動かない限りは損失を出してしまいます。

FXは土日を除けば24時間の為替取引が可能であり、「取引期限(満期)」もありません。外国為替の変動相場では「いつ売るか・いつ買うかのタイミング」を自分で決められるかどうかの違いが非常に大きいのは、誰にでも分かることですが、外貨預金は「3ヶ月もの・6ヶ月もの・1年もの」などの外貨保有期間・決済日があらかじめ決められています。3ヶ月後(6ヶ月後)の外貨預金の満期が来た時に、大きく1~2円以上も「円高」に動いていたら、高金利外貨(南アランド・トルコリラ等)であっても「金利以上の損失」が発生してしまうわけです。

外貨預金の最大の欠点は「取引期限(満期)」があるために、自分で売りたいタイミングを決める「トレードの機動性・リアルタイム性」がないということです。外貨預金を勧める人は「銀行にすべてお任せできる簡単さ」を上げますが、確かに「外為市場の動き・世界経済のニュース」を何も気にせず、ただ使い道のないお金を日本円より高い金利で運用したいだけなら外貨預金は適しています。しかし、「割高な手数料・円高=確実な損失」という外貨預金のコストは長期ではFXより相当大きくなるでしょう。

FXの「通貨ペア」の多様性・分散投資

FX投資における「トレードの機動性」と「通貨ペアの多様性・分散投資」FXで外貨を売買する時に重要になるのが、異なる二つの通貨の組み合わせである「通貨ペア」です。通貨ペアは左側に表示されるのが「取引通貨」、右側に表示されるのが「決済通貨」であり、日本円は外為市場では非常に弱い通貨なので「取引通貨(左側)の位置」に来ることはありません。「米ドル/円・ユーロ/円・ポンド/円」が日本人にはもっとも馴染み深い通貨ペアですが、銀行の外貨預金でも円建ての「豪ドル・NZドル・カナダドル・スイスフラン・少数の新興国通貨」くらいは買うことが可能です。しかし、FXで売買可能な通貨ペアの組み合わせはFX業者によっても変わりますが、「10~50ペア以上」にも上ります。

FX初心者は基本的に「ドル/円・ユーロ/円・豪ドル/円」など、損益の価格変化が直感的に分かりやすい「円建ての通貨ペア」を買うことがお勧めです。しかし、「世界経済の動き・外国通貨の特徴・為替レートの分析手法・通貨価格の相対比較(どちらの価値が上がりそうか)」に慣れてきたリスクを許容できる中級者であれば、「メジャー通貨以外のマイナー通貨」や「円建て以外の外貨建ての通貨ペア(米ドル/ユーロ・ポンド/豪ドルなど)」をアクティブに試すことで、「世界各国の経済情勢・国際関係」とリアルタイムで結びついたFXの奥行きの深さを知ることができます。

FX投資は通貨ペアの多様性に触れることで、「FX投資のバリエーションの多さ・外貨の分散投資によるリスクヘッジ」を実感することができます。確かに、FX上級者でも最終的に米ドルやユーロ、豪ドル、NZドルなどのメジャー通貨のFX(独自の戦略的投資)に回帰する人は多いですが、せっかくFXを始めたのであれば一度は「少額(レバレッジなし)」で良いので、高金利かつ価格変動幅の大きなマイナー通貨も体験してみると良いでしょう。

FX投資の通貨ペアにおけるメジャー通貨とマイナー通貨

外為市場では、取引量が多くて国際市場で24時間取引されている通貨を「メジャー通貨」と呼びます。メジャー通貨には、「米ドル・ユーロ・日本円・ポンド・豪ドル・NZドル・スイスフラン・カナダドル・香港ドル・スウェーデンクローナ」があります。狭義では「米ドル・ユーロ・日本円・スイスフラン」だけをメジャー通貨とすることもあります。メジャー通貨以外の取引量が少なくて限定された地域の市場で取引されている通貨を「マイナー通貨」と呼びますが、取引量・取引参加者が増えればメジャー通貨に昇格することもあります。

国際決済銀行(BIS)の「FX取引の実態調査(2016年)」では、通貨ペアの取引量のシェアは、「ユーロ/米ドル」が全体の23%でトップ、「米ドル/円:18%」、「英ポンド/米ドル:9%」が続いています。米ドルが関係するこの3つの通貨ペアだけで全体の約50%のシェアですが、「単一通貨のシェア(ペアなので全体は200%)」でも米ドルは約85%と4割以上のシェアを持っており、「世界の基軸通貨」である米ドルの為替需要がいかに大きいかが分かります。

米ドルに続いて、ユーロが39%、日本円が19%、英ポンドが13%のシェアであり、日本円も為替市場で人気のある通貨になっています。「国際的な有事(米国関与の有事)」では、為替マネーがドルから日本円に逃避してくることも多いのです。米ドルは取引量では圧倒的シェアを誇りますが、国別の為替市場規模(2016年)のトップは常にイギリス(ロンドン金融街のシティ)が維持して、約37.1%のシェアを占めています。米国の為替市場取引のシェアは約19.4%、日本(6.1%)はシンガポール(7.9%)と香港(6.7%)に僅かに抜かれています。

FXの投資対象としてのメジャー通貨とマイナー通貨の特徴

メジャー通貨・マイナー通貨の特徴を踏まえた通貨ペアの選び方

日本のFX市場で人気のあるマイナー通貨には「トルコリラ・南アランド・ブラジルレアル・メキシコペソ(円建てかドル建て)」などがありますが、マイナー通貨は一般的認識として「ハイリスク・ハイリターンの投資対象」と見られがちです。マイナー通貨の最大のメリットは何といっても、先進国の通貨では考えられない「高金利」です。政策金利で見ると、トルコリラは8.0%、メキシコペソは7.0%、南アフリカランドは6.5%となっており、メジャー通貨の中では高金利の豪ドル1.50%、NZドル1.75%よりも4倍以上高い金利になっています。

メジャー通貨の多くは、国力が高く政情が安定した先進国(アメリカ・日本・EU諸国)の通貨なので、メジャー通貨そのものの価値が暴落するリスクはマイナー通貨と比べれば相対的に低くなっています。マイナー通貨の高金利の背景にあるのは、やはり「国家としての信用力の相対的な低さ+ムーディーズなどの国債格づけの低さ(国家財政の信用の低さ)」であり、それだけ政策金利を高く設定しなければ買ってくれる国・人が少ないということなのです。

マイナー通貨は取引量・取引参加者が少ないために、「為替市場の流動性」が落ちて売買が成立しづらい時があるというデメリットもあります。大勢の参加者が常にいる米ドルや円、ユーロなど流動性の大きいメジャー通貨であれば、「時価で売りたい時に売れない(買いたい時に買えない)というリスク」はまずありません。しかし、市場規模が小さいマイナー通貨では「取引不成立+少数者の売買による激しい値動きのリスク」が生じやすいのです。

FX投資における通貨ペアの選び方

外貨投資は金利が高ければ高いほど、発行国のファンダメンタルズの情報が少なければ少ないほどハイリスクになりがちです。マイナー通貨はメジャー通貨と比較すると、「為替の価格変動率(値動きの幅)」が非常に大きく、トルコリラや南アランドは直近3年でも年間平均約25%も価格が乱高下しています。メジャー通貨の変動率は年間約15~18%前後が多く、マイナー通貨よりもローリスクなのです。マイナー通貨は、激しい値動きで「大きな利益」を出せるチャンスも多いのですが、「大きな損失」を出してしまうリスクもあります。

FXでどの通貨ペアを選べば良いのかは「投資の目的と手段・許容可能なリスク」によって変わってくるので、通貨ペア選択に「唯一の正解」はありません。FXのファンダメンタルズ分析の情報を手に入れやすくて、テクニカル分析やロスカット(損切り)のリスク管理をしやすいのは間違いなく「米ドル・日本円・ユーロのメジャー通貨」で、値動きも極端に激しくはありません。もう少しリスクが取れるのであれば、スワップポイントが高くなる「豪ドル・NZドル」と合わせた分散投資が有効でしょう。

しかし、FX投資のゴールともいわれる不労所得で暮らす「スワップポイント生活(スワップ金利生活)」を目的としているような人は、「高金利(高スワップポイント)のマイナー通貨」を対象とした「レバレッジ投資」を手段として選ぶかもしれません。トルコリラや南アランド(金利約6~8%を想定)に、3倍以上のレバレッジをかければ1,000~2,000万円の証拠金で、月に約20~30万円以上のスワップポイント(労働所得並の金利収入)を得られるからですが、国の信用危機で通貨暴落が起これば証拠金をすべて失うかもしれないハイリスクを受け容れる必要があります。