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2018年は「ドル安円高」が続くが、米国の株価・雇用統計自体は悪くない

2018年のFXの「ドル円相場」は、4月まで概ね一貫して下落トレンドにあり、1月に1ドル113円をマークしてから106円台まで段階的に下げてきました。アメリカの景気・株価・雇用・金利のすべてが悪くはなく、むしろ良いと判断できるほどなのに、なぜここまでドル円が下げ続けているのかの理由ですが、総合的に見て「ドル売りのリスクオフ相場」になっているからです。確かに、米国の現時点の株価は過去最高値近辺にありますが、最近発表された雇用統計(3月)の非農業部門雇用者数(NFP)は前月比10.3万人増加に留まり、市場コンセンサスの18.5万人増加を下回っています。

失業率は約4.1%で市場予測とほぼ同じで、6ヶ月連続で低水準が持続しています。FRB(米国連邦準備制度理事会)は約4.5%を「完全雇用水準」と見なしているので、現在の米国経済の雇用情勢は失業率を見ればかなり良い状態が続いていると解釈できます。米国の平均時給は「26.82ドル(前月比0.3%増・前年比2.7%増)」となっており、この時給の金額は過去最高です。FRBのインフレターゲット(物価上昇目標)は約2.0%であり、この目標の実現のためには平均時給の伸び率が年間約3.0%は必要と言われているので、平均時給の数字自体は良いのですが、やや伸び率が弱いと評価する事もできます。NFPの10.3万人増は増加幅の少ないバッドニュースに見えるのですが、3ヶ月平均では月20.2万人増加しているので、米国の雇用情勢が悪化しているという評価にまでは至らないでしょう。

米ドルのリスクオフ相場の要因1「FRBの利上げ・財政赤字拡大」

米国の経済・雇用は好調なのになぜFXの米ドル相場は下落トレンドなのか?米ドルの長期保有をリスクと見なして、米ドルを売って日本円やユーロを買う「リスクオフ相場」が続いていますが、米国経済が概ね好調なのに米ドルが売られる理由を「一つの原因」だけに絞り込むことはできません。現在の米国経済は緩やかなインフレが続いている好景気の状態にあり、FRBのジェローム・パウエル議長は「年3回の利上げ予測」を示しています。パウエル議長は「緩やかな賃金の伸びは、雇用市場が過度に引き締まっていない事を示す」として年3回の緩やかなペースの利上げ予測を改めて示唆しましたが、雇用統計発表後には米ドルと株価(NTダウ)はいったん大きく下げてから反発しました。米国債は金利低下で上昇しています。利上げはインフレ(需要)の過熱を抑制する金融政策ですから、景気が過熱してインフレ感が出るほど利上げペースは速くなる傾向があります。利上げは「米ドルを上げる要因(好景気の証拠)」にも「米ドルを下げる要因(企業活動・景気の抑制)」にもなり得るのです。

米ドルが上がりにくい要因として、米国の「財政赤字の拡大予測」も問題視されています。米国の「双子の赤字(財政赤字+貿易赤字)」の一つである財政赤字拡大は、トランプ政権下における「アメリカファースト」の米中貿易戦争とも間接的につながっている問題で、トランプ大統領は外国の輸入品が増えて貿易赤字が拡大することを強く嫌っているのです。CBO(米連邦議会予算事務局)は、トランプ政権の法人税減税政策などで経済成長率は高まるが、(減税措置による法人税減収もあり)それ以上のペースで財政赤字が膨らむと予測しており、米ドルが下落する一要因となっています。

CBOは2018年の米国のGDP(国内総生産)成長率について前回の+2.0%から+3.3%にまで引き上げていますが、経済成長しても財政赤字の伸び幅に追いつかない恐れを指摘しています。2020年までに歳出超過の財政赤字が「1兆ドル(約110兆円)」の大台に乗るとCBOは予測していますが、従来は財政赤字1兆ドルに到達するのは2022年頃と見られていたので、2年も前倒しされたことになります。

米ドルのリスクオフ相場の要因2「米中貿易戦争・アメリカファーストによる自由貿易ルールの軽視」

米ドルのリスクオフ相場の最大の要因は、「アメリカファースト・貿易赤字縮小」を掲げるトランプ政権が引き起こした「貿易戦争(通商戦争)」でしょう。同盟国である日本にも「鉄鋼(+25%の関税)・アルミニウム(+10%)」に対する関税引き上げ措置を通告してきた米国ですが、特に世界第二位の経済大国となった中国との間で起こっている「米中貿易戦争(相互に高率関税を掛けて輸入を妨害しようとする戦争)」が深刻化しており、米国が自由貿易を制限して保護主義(自国産業保護のブロック経済)に傾いたとの見方から米ドルが売られやすくなっているのです。

トランプ以前の米国はTPP(環太平洋パートナーシップ協定)を中心とした自由貿易圏拡大の中心勢力としてあり続けましたが、トランプ政権誕生後はTPP撤退だけではなく市場原理(自由競争)にのっとった自由貿易の国際ルールを、自ら無視するような行動(一方的な関税制裁措置)が目立ってきています。中国に対する厳しい経済制裁の理由として、米国の知的財産権を不当に侵害して是正していないことを上げていますが、本来はTPPの枠組みの中で「知的財産権の厳密な保護」が実施される予定だったのです。

また米国のトランプ政権は鉄鋼・アルミなどの高関税・制裁措置について、「国別の差別待遇」をしたため、さらに基軸通貨ドルの信認を間接的に落としているのです。日本・中国からの輸入品には厳しく追加関税を課すのに、EU(欧州連合)・韓国・カナダ・メキシコなどには高関税措置の適用を暫く猶予するとしていますが、中国はともかく同盟国日本になぜそこまで高関税をかけるのかの納得できる説明(事前交渉の相談)がないのです。TPPの締結予定やWTOの自由貿易の国際ルールなどを米国が一方的に無視し続ければ、どうしても米ドルは国際的信認を落として下落しやすくなります。

アメリカの取引至上主義の駆け引きが「米ドル下落の潜在リスク」を煽る

米中貿易戦争・米中朝関係・財政赤字拡大の米ドルに対する影響米国と中国が経済的に自由貿易で対立していて、元々閉鎖的だと思われていた中国ではなく米国のほうが「世界的な自由貿易のルール」を自ら踏み外し、「保護主義政策(ブロック経済)」に逸脱しているという図式が、国際的な基軸通貨ドルの信認を落としているのです。トランプ政権が一方的な対中の経済制裁措置(高関税)を発動すれば、中国も負けじと米国の自動車・電化製品・農産物などに同等以上の高関税をかけて対抗措置を講じてくるという「米中貿易戦争」は世界経済にとって悪影響なのですが、ある意味では米国も「本気(ガチ)の制裁措置」を貫き通したいわけではないのです。そこには、米国特有の「取引至上主義」の駆け引きがあります。

取引至上主義とは、相手が絶対に受け容れるはずのない厳しい条件を突きつけて一歩も引かないポーズの強硬姿勢を取ることで、相手から何らかの譲歩を引き出そうとする考え方のことです。そして、トランプ政権は取引至上主義を貿易でもホワイトハウス人事でも常套手段にしています。米朝関係でも北朝鮮を威圧する目的で、外交対話を重視してきたティラーソン国務長官を罷免し、軍事圧力が効果的とするタカ派のポンペオ元CIA長官を国務長官に任命しました。さらにタカ派のネオコンとして知られるボルトン元国連大使を、国家安全保障問題担当の大統領補佐官に任命して圧力をかけています。こういったトランプ政権の貿易戦争(高関税制裁措置)とホワイトハウス人事の取引至上主義が、米ドルの潜在的リスクを煽っている面を指摘できるでしょう。

米中朝関係の複雑化する地政学的リスクの緩和が米ドル上昇を促す可能性

北朝鮮の金正恩総書記が、米国の先制軍事攻撃リスクを回避するため、中国の習近平国家主席を電撃訪問して情勢改善を要請したことで、米中朝関係の地政学的リスクは複雑化しました。「米国の北朝鮮への先制攻撃があれば米中の軍事衝突もある」という米ドル下落の潜在リスクが印象づけられることになりましたが、貿易戦争においても北朝鮮問題においても「米国の取引至上主義(脅しに近い条件を突きつけて譲歩させる戦略)」が裏目に出やすくなっています。「核開発・ミサイル実験」で地政学的リスクを拡大し続けた北朝鮮ですが、ここに来て態度を軟化させて中国・韓国に擦り寄る姿勢を見せています。米国がここで話し合いに応じずに、北朝鮮に対する先制攻撃に踏み切ることがあれば、「自由貿易秩序」に続いて「地政学的秩序」を一方的に壊した悪者として指弾され、FXの米ドル相場にいっそうの下落圧力がかかるリスクが出てきます。

FXのドル円やユーロドルの相場のファンダメンタルズ分析において、政治マターのマクロ要因が非常に大きな影響を及ぼす局面になっていますが、「米中朝関係の改善・地政学的リスクの緩和」が米ドル上昇を促す要因になってくるでしょう。ドル円・ユーロドルのFX投資において、明確にドルをロングポジション(買いポジ)で持つべき時点を判断するのは簡単ではありませんが、米国の経済指標と合わせて国際政治・貿易・外交のファンダメンタルズ要因に注目を続けていく必要があります。特に、北朝鮮と韓国の南北会談、アメリカと北朝鮮の米朝首脳会談の内容と推移、緊張の緩和度についてニュースをチェックすることで、米ドルが上昇に転じてくるかどうかの大局を判断しやすくなります。