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小売や教育になぜ2月決算が多い?

3月決算の前哨戦とも言える2月決算上場企業において、3月決算(3月末が年度の末日)・12月決算に次いで多い決算期が2月決算です。小売・外食において顕著であり、特に小売は名だたる企業が2月決算に名を連ねています。これは、ボーナスの時期(12月・1月・6月・7月)を過ぎると売上が落ち閑散期に入り、年度末に必要な棚卸作業(商品在庫の確認など)もやりやすいからです。もっとも近年は外国人訪日客によるいわゆる「インバウンド需要」で売上が伸びるケースが多く、中国人の観光シーズンと言える春節(旧正月)は2月中になることが多いため、末日はともかく2月が閑散期とは言えなくなっています。また学習塾業界は3月決算企業が多いですが、2月決算企業も一定数あります。これは2~3月の受験シーズンの前に年度を区切るほうが都合が良いからで、特に高校受験クラスは3月~翌2月を年度とする学習塾が多く見られます。3月決算よりサイクルが1ヵ月早い2月決算の動向は、大量の3月決算業績発表を前にした前哨戦と言え、動向を占うことができます。

リソー教育グループ(証券コード:4714):少子化の中堅調に増収増益

決算短信:http://www.riso-kyoikugroup.com/ir/pdf/2018/20180409_1.pdf

リソー教育グループ決算
実績は2018年2月期、予想は2019年2月期
単位:百万円、()は前年同月比増加率
最終利益は当社(親会社)株主に帰属する当期純利益
予想EPS(1株あたり最終利益):30.48円 PERの分母にあたる

リソー教育は、個別指導塾「TOMAS」・家庭教師派遣「名門会」・幼稚園小学校受験指導「伸芽会」の運営をしております。2018年2月期実績は増収増益、2019年2月期予想はさらなる増益と、少子化の中非常に堅調な状況です。売上高に占める割合はTOMASが一番高いのですが、増収率で言うと伸芽会が10%を超える増収で高いです。決算発表より前の3月28日昼に予想業績が発表され、株価が上昇しました。4月9日後場終了後に実績の決算発表がされ、翌日株価は順調に上昇しました。同業他社で2月決算企業の業績を見てみると、まず東京個別指導学院(4745)も実績・予想とも増収増益ですが、実績ベースでの伸びが大きく予想ベースでは増益幅が縮小を見込んでいます。

東京個別指導学院:http://ir.tkg.jp/news/docs/ePX8SJfgZBIr/Results_20180404.pdf

東京個別指導学院決算

一方で、市進ホールディングス(4645)のように苦戦を強いられている企業もあります。最終利益のみ増益なのは、主に長期保有していた有価証券の売却益によるものであり、事業が要因とは言いがたいです。

市進ホールディングス:
http://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS00459/76e3417c/d511/4d8f/a5eb/2599eff7c7d6/140120180414411770.pdf

市進ホールディングス決算

予想PER・ROE・ROAを比較すると、好調なリソー教育・東京個別指導学院とそうとは言えない市進HDで差があります。ただ市進HDは配当性向(純利益に対する配当の割合)が40%台と高くROEは10%を超えていますし、PERも利益水準の割に割安と言え、業績の上方修正がある時はねらい目です。

企業別決算
(※)2018年4月20日時点での株価が分子

セブン&アイ・ホールディングス(3382):海外事業で補う

決算短信:(セブン-イレブン・ジャパン、そごう・西武など傘下企業の決算も含む)https://www.7andi.com/dbps_data/_template_/_user_/_SITE_/localhost/_res/ir/library/kt/pdf/2018_0405kt.pdf

セブン&アイ・ホールディングス決算
予想EPS:237.41円

業績の話に入る前に、まずセブン&アイグループは国内の主な傘下企業として、コンビニのセブン-イレブン・ジャパン、スーパーのイトーヨーカドー、百貨店のそごう・西武があることをおさえてください。2018年2月期実績は増収増益でこれ自体は良い傾向ですが、問題はその内訳です。純利益が87.2%もの増益なのは、前期の2017年2月期に特別損失(そごう・西武の店舗減損損失)を計上したのが原因です。また経常増益の主な要因は、海外(主に北米)コンビニ事業です。国内コンビニ事業(セブン-イレブン・ジャパン)は人手不足問題による人件費上昇を受け、フランチャイズ店からのロイヤリティ(経営指導料)を引き下げたこともあり、営業では0.3%程度の増益です。イトーヨーカドーのようなスーパー事業やそごう・西武のような百貨店事業は、増益は果たしているものの店舗閉鎖の影響もあり売上は減収です。続いて2019年2月期予想業績を見ると、増収増益予想ですが利益の伸び率が2018年2月期実績ほどではありません。また来期予想においても、コンビニ事業の営業増益は国内事業(1.1%増)より海外事業(14.3%増)を大きく見ています。また増収予想とはいえ、百貨店事業は厳しく6.5%のさらなる減収を見込んでいます。

なお、Yahooファイナンス等に掲載されているコンセンサス予想は、経常利益予想411,212百万円(5.2%増、2018年4月20日時点)ともう少し強気です。2020年2月期にROE10%・営業利益4,500億円という利益計画を立てており、実績ROE7.46%・予想ROE8.65%と悪くは無いですが10%に達してはいません。ちなみに実績ROA3.2%・予想ROA3.8%と、こちらは店舗という固定資産を多く持つ業種のため高くはありません。株価の割安さを表す予想PERは、2018年4月20日時点での終値4,775円で計算すると20.1倍であり、やや高めの数字です。4月5日に実績・予想が発表され、翌6日の株価は上昇しました。増収増益の実績・予想が出ることは、銘柄への株式投資にとってはプラス材料です。しかし決算内容の中身を読み解いていくと、国内の消費や人材確保をめぐる状況が決して良いとは言えず、3月決算の前哨戦として見た場合悲観的な状況も予想されます。

コンビニ業界:設備投資などで減益基調

セブン&アイ・HD傘下のセブン-イレブン・ジャパンと、同業他社であるローソン(2651)・ファミリーマート(ユニー・ファミリーマートHD:8028の連結子会社)を比較します。この比較からわかることは、セブン&アイグループのコンビニ事業は比較的堅調であるということです。

【決算短信もしくは決算概況】
ローソン:http://www.lawson.co.jp/company/ir/library/pdf/tanshin/tanshin_h30_rentan.pdf
ファミリーマート(P7):http://www.fu-hd.com/ir/library/references/1802fact_ughd.pdf

コンビニ企業別決算

コンビニ業界の大手3社を比較すると、セブン-イレブン・ジャパンはわずかに営業増益を果たしているものの、他の2社は減益になっています。ローソンの場合は、新型レジや内部管理のタブレット端末導入への設備投資を積極的に行ったことで減益となりました。決算短信の営業活動・投資活動によるキャッシュ・フローを見ると、両者ともに前年より増加し、また投資活動によるキャッシュ・フローのマイナス幅は、営業活動によるキャッシュ・フローのプラス幅より小さいので、投資の方針に大きな問題があるとは言えません。また店舗などの減損損失で、最終利益は25%を超える減益幅となっています。ファミリーマートの場合は、店舗整理などが原因で減益となりました。

コンビニ業界来期予想
※セブン―イレブンは営業利益計画のみ

続いて来期の予想を見ると、ローソンは引き続き設備投資を行うことから、さらなる営業減益を見込みます。ファミリーマートは営業赤字を脱し、来期は増益を見込みます。省力化のための設備投資や店舗のリストラなどは将来の利益を生み出すための措置ですので、短期的には赤字・減益でも長期的に見ればプラスに働くものですが、セブン-イレブン・ジャパンのように安定して増益できるに越したことはありません。またセブン&アイグループ全体で見れば、海外事業で補える強みもあります。

百貨店業界:外国人訪日客の恩恵を受ければ好調

セブン&アイグループのそごう・西武と、同業他社である高島屋(8233)、Jフロントリテイリング(3086)を比較してみます。この比較からわかることは、セブン&アイグループの百貨店事業は比較的苦しいということです。

【決算短信・決算説明会資料】
高島屋:http://www.takashimaya.co.jp/base/corp/ir/tanshin/pdf/2018/2018_0410_tanshin.pdf
Jフロントリテイリング:http://www.irwebcasting.com/20180411/3/af25658a8a/mov/main/index.html

百貨店業界企業別決算

地域的に大阪が東京以上に訪日客に人気で、大阪が地盤の高島屋やJフロントリテイリング(大丸・松坂屋)は、訪日客の消費税免税売上が伸びています。

百貨店業界来期予想
※そごう・西武は営業利益計画のみ

とはいえ、来期は高島屋・Jフロントリテイリングとも営業減益を見込んでおり、むしろそごう・西武が営業利益計画で2.3%増の5,200百万円を見込んでいます。高島屋の減益幅が大きいですが、これは東京日本橋などの店舗開業費用が多額になるためです。高島屋・Jフロントリテイリングとも実績が良かったにも関わらず予想業績の悪さが原因で、決算発表直後は株価が下落しました。

3月決算企業の業績発表に向けて

2月決算企業の状況を見た限りでは、人手不足業種における人件費高騰や省力化投資が業績に悪影響を与えていることが、3月決算企業(建設・運送など)においても懸念されます。ただ2018年3月までの円高傾向は4月には解消され、2月決算企業の製造業では安川電機(6506)で好業績の決算発表がされるなど、明るい話題も出ています。2月決算企業は業種が偏っていますが、3月決算を占うヒントは同業種・異業種を問わず隠されています。3月決算銘柄に投資している方も、2月決算銘柄の業績・株価動向を理解しておきましょう。2018年は、4月26日・27日には多くの3月決算主要企業の決算発表が予定されています。