現在新たな形の農業として注目されているのが「スマート農業」と呼ばれる最新のIT技術やAIなどを利用した農業です。大企業を中心として、異業種が次々と農業に参入しており、政府もガイドラインを設定するなどITを利用した新たな農業を全面的にバックアップしています。

そんな注目されている新たな農業ですが、

・現在の農業の背景について
・具体的にどういった技術があるのか
・農業の関連企業にはどういった企業があるのか

ということは気になるところかと思います。今回はITを利用した農業の概要や関連銘柄について説明していきます。

ITを利用した新たな農業が注目を浴びている

スマート農業関連銘柄について日本農業は従来高齢化や後継者不足に悩まされてきました。特に減ってきているのが基幹的農業者数と呼ばれる農業を主に生活している農家の数で平成7年の256万人から平成22年には206万人と50万人も減少しており、対策が急務でした。平均年齢も平成7年の59.6歳から平成22年の66.1歳となり、後継者不足が表面化していました。そんな状況の中、今注目されているのがITを利用した農業です。

スマート農業や農業ICT、アグテックなどの呼び方もありますが、すべて同じように「ITを利用した農業」という意味を持ちます。AIやセンサー、クラウド、ビッグデータなどの技術を利用し、データを可視化。農業を「見える化」することによって最適な管理をし、コストの低減や生産性を高めていくことをいいます。

従来農業というのは天候による環境や熟練した農業者の経験や勘などの不確定要素によって、農産物の出来が大きく左右されてきました。マニュアルのない産業なので、新規参入者が入り辛い環境でした。しかしながら、近年これらの不確定要素がIT技術の発展によって、データの蓄積と解析で「見える化」できるようになってきました。そのため新規参入や後継者育成、計画的な生産行為が可能になってきたため、持続的な農業の活性化に期待が高まっています。

農業のIT化は近年急激に市場規模が拡大し、今後も大きく拡大していくことが予想されております。市場調査企業大手のシード・プランニングの調査では2015年は約165億円と呼ばれている市場規模が2020年には732億円になると予測されています。今後はICTの活用によって「弱い・儲からない農業」から「強い・儲かる農業」への転換が期待されています。

政府も農業分野に力を入れているため、今後の農業は国策ともいえる

政府も新たな形の農業に力を入れています。平成26年7月に農水省はITやロボット技術による効率化システムの作成などに開発資金を集中させると発表しました。

平成29年5月には農業競争力強化支援法が成立し、農業資材価格の引き下げ、農産物流通の合理化、輸出体制の整備、収入保険制度など様々な農業を支援する政策を発表。日本最大の農業商社であるJA全農にメスを入れることによって、独占を阻止。競争力を高め、強い農業にしていこうという狙いが感じ取れます。

また平成29年6月には、農水省が農業者にとって有用な情報をまとめたwebサイト「まるみえアグリ」を開設しました。資材の調達「AGMIRU」・流通「agreach」・研究「アグリサーチャー」の3つのウェブサイトをまとめており、農業者にとっての役に立つ情報を「見える化」し、競争力強化の取り組みを行っています。

このように政府は本格的に農業を強い産業として育てていこうという意欲があります。それに呼応し、大企業も次々と農業に新規参入しています。具体的にどの企業がどのような形で農業に参入しているか見ていきましょう。

大企業を中心に農業への新規参入が進んでいる

農業のIT化で新たな生産性を確立以前は参入してこなかった大企業も農業に参入するようになってきました。カゴメ【2811】はNECと協力し、農業ITによる加工用トマトの生産に着手しました。人工衛星やドローン、センサーなど最先端の技術によって、データを蓄積し、土壌データの分析や生育状況の管理などを行っています。2020年までには350万トンから400万トンのトマトの生産を計画しています。

NTTドコモ【9437】は農業、水産、畜産向けにICTを活用したサービスソリューションを提供しています。水産向けにクラウド型の営農管理システムである「アグリノート」を展開するベジタリアや新潟市と連携し、水産センサーシステムを提供。畜産向けにセンサーやAIで牛の遠隔管理ができる「モバイル牛恩恵」、水産向けにセンサーを活用して、海洋データが把握できる「ICTブイ」のサービスを提供しています。

オリックス【8591】は子会社のオリックス農業株式会社の設立を筆頭に、農業関連会社に積極的に投資を行っています。5地点の生産拠点を持ち、大企業ならではのネットワークを活かし、全国各地に販売しています。

トヨタ自動車【7203】はコメ作りを中心に農家を支援しています。独自に開発したIT管理ツールである「豊作計画」を農家へ提供。自動車事業で培ったノウハウを利用し、コメ生産でも効率化を図っています。トヨタの代名詞ともいえる「カイゼン」が農業にも活かされるか注目です。

このように近年は異業種の大企業による農業参入が増えてきています。平成15年末には農業経営を行う一般法人は10法人でしたが、平成28年末には2,676法人と大きく伸びています。法人の農業参入は年々増加傾向にあり、既存の家族経営で小規模の農業ではなく、ITやロボットを利用した大規模農業は今後増えていくでしょう。

農業の生産行為のみではなく、他のサービスも注目を浴びる

またスマート農業は生産のみならず、ITを利用した新たなサービスも続々と展開されており、今や多様な業種で注目を浴びています。農業総合研究所【3541】は各地の生産者から農産物を集荷し、スーパーなどに直売所を設ける事業を展開。生産者の顔が見えるとともに農協を通さない出荷方法で、生産者が自分自身で価格を決めることが出来る新たな流通方法として注目を浴びています。

畜産業界では住友商事【8053】など4社が出資しているファームノートHDがクラウドを利用した牛群の管理システムを提供しています。また乳牛にセンサーをつけることによって、1頭1頭の牛の状態を管理し、発情や分娩兆候を発見できるシステムを提供しており、上場の際は注目銘柄として期待ができます。

東京計器【7721】は高いGPS技術を保有している企業です。高いGPS精度を活かした農機の自動運転に期待ができます。井関農機【6310】やクボタ【6326】は農業機械ビジネスに取り組んでおり、高品質の農機を提供し続けています。今後自動運転との連携も期待が出来ます。

クラウドによる農業の見える化できる技術も注目が高まっており、トヨタの系列企業であるデンソー【6902】は環境整備システム「プロファーム」を製造し、富士通【6702】は生産から経営、販売までをサポートする「Akisai(秋彩)」を提供しています。小型株ではネポン【7985】がハウス環境のモニタリングサービスである「アグリネット」を展開しています。

ITによって農業の形は大きく変わっていく可能性が大きい

以前までの農業は65歳以上の高齢者が自身の経験や勘を頼りに農作物を生産するという形でしたが、今後の農業は企業がITを利用し、効率化、自動化がされた農業という形に徐々に移行していくことでしょう。

クラウドによるデータ共有、ビッグデータによるデータ蓄積と解析、センサーによるデータ収集など様々な形でITが農業に活用されています。
ITが発展していくにつれて、農業の生産力も上がっていくことでしょう。

今後に期待が持てるスマート農業関連銘柄に注目です。

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