超低金利が長く続き、銀行預金は利息が無いに等しくなりました。外貨預金は利回りが高いものの、円高による為替リスクがつきまといます。そのような金融情勢の中にあって着目したいのが株式の配当利回りの高さです。中でも連続増配を続けている銘柄は、1度買えば配当額が増え続けるため、極めて有利な投資先といえます。

そこで今回は、連続増配を続ける企業の株を長期で保有し、年々利回りをアップさせる「雪だるま式投資法」についてご紹介します。

連続増配株は業績好調な優良株ばかり

連続増配株の特徴は、まず業績が好調な優良株ばかりということです。毎年着実に1株利益が伸びないと連続増配はできませんので、実施していること自体が今後の業績への自信の表れでもあります。

さらに、財務内容が良好なため、多少の減益なら増配を続けることができますので、株価下落リスクが低いというメリットもあります。

連続増配で利回りはどれくらいアップするのか?

年々利回りがアップでは、具体的に連続増配によって配当利回りがどのようにアップしていくのかを見てみます。

【8591オリックスの例】

業績絶好調のオリックスは配当もここ数年大幅増配が続いています。仮に5年前に同社株を1,600円で100株買っていたら、その後の年間配当金と利回りは以下のように変化していきます。

2013年3月期 13円    0.8%(1,300円÷16万円、以下同じ計算式)
2014年3月期 23円    1.4%
2015年3月期 36円    2.3%
2016年3月期 45円75銭  2.9%
2017年3月期 52円25銭  3.3%

初年度こそ利回りは低いですが、その後業績の伸長とともに増配され、前期は3%台まで利回りが上昇しました。これが連続増配株の威力なのです。続く2018年3月期も増配する方針のため、利回りは一段と上昇することになります。

おもな連続増配銘柄一覧(株価は2018年3月30日現在)

それでは、連続増配を続けているおもな銘柄を一覧でご紹介しましょう。

花王(東証1部、株価7,981円、年間予想配当120円)
28期連続増配。トイレタリー最大手。子会社を通じて化粧品にも展開し、今では総合生活用品メーカーの様相を呈しています。商品開発力は抜群で、今後も業績の伸びが期待できます。配当性向が低く、配当余力が大きいため当分は連続増配が続くでしょう。

SPK(東証1部、株価2,880円、年間予想配当65円)
20期連続増配。自動車用補修・車検部品メーカー。最高益更新にも関わらず予想PER10.75倍、実績PBR0.95倍と割安に放置されています。購入するにはチャンスでしょう。

ユー・エス・エス(東証1部、株価2,150円、年間予想配当47.2円)
20期連続増配。中古車オークション会場の運営で業界首位。中古買い取り専門店「ラビット」も手掛けます。

三菱UFJリース(東証1部、株価624円、年間予想配当15円)
19期連続増配。三菱UFJグループのリース大手。日立キャピタルと業務提携し、リースではトップクラスの企業です。

明光ネットワークジャパン(東証1部、株価1,284円、年間予想配当42円)
19期連続増配。学習塾最大手で、「明光義塾」のブランドで展開しています。少子化が懸念材料ではあるものの、生き残り競争となればトップブランドが有利とする見方もあります。

小林製薬(東証1部、株価7,680円、年間予想配当60~62円)
19期連続増配。家庭用薬品、日用品の製造販売大手。芳香剤に定評があります。配当性向低く、しばらく増配が続く公算です。

リコーリース(東証1部、株価3,520円、年間予想配当)
18期連続増配。リコー系のリース会社。太陽光発電、小水力発電など再生エネルギー事業にも取り組んでおり、今後の展開が期待されます。

しまむら(東証1部、株価1万3,310円、年間予想配当230~250円)
17期連続増配。低価格のファッション衣料販売で急成長。楽天、ゾゾタウンなどへ出店し、通販強化の方針です。婦人、紳士衣料が中心のため、高齢化社会の進展にも対応できるのが強みです。

トランコム(東証1部、株価7,360円、年間予想配当80~82円)
17期連続増配。物流センター受託、物流情報サービス、人材派遣などを手掛ける倉庫業大手。連続最高益更新で業績は絶好調です。

11期~16期連続増配の銘柄

・16期連続増配
沖縄セルラー電話、科研製薬、KDDI、サンドラッグ、シスメックス、TCリース、芙蓉リース、プラネット、ユニ・チャーム、リンナイ
・15期連続増配
興銀リース、リロホールディングス
・14期連続増配
アルフレッサホールディングス、栗田工業、高速、ドンキホーテホールディングス、ニトリホールディングス、ロート製薬
・13期連続増配
イオンディライト、コムチュア、ハイディ日高、三井海洋開発、ユニー・ファミリーマートホールディングス
・12期連続増配
カカクコム、ハマキョウレックス、みらかホールディングス
・11期連続増配
NECネッツエスアイ、GMOペイメントゲートウェイ、シークス

増配が可能かどうかは配当余力で判断する

一覧で特徴的なのは、連続増配は年数が必要なものなので、東証1部の銘柄がほとんどということです。業種別ではリース会社が多いのが目につきます。それだけ利益率が高いということなのでしょう。

ではこれらの銘柄は今後も連続増配を続けるのでしょうか。その有無は「会社四季報」を見れば簡単に判断がつきます。1つは配当性向で、業績データの1株配当を1株利益で割れば算出できます。例えば1株利益が100円で配当が30円なら、配当性向は30÷100=30%となります。利益の70%を内部留保に回すので、まだまだ増配の余地があります。これが配当性向80%にもなっていると配当余力があまりないので、減益になると配当据え置きか減らされる危険があります。

2つ目の判断材料は利益剰余金です。いわゆる内部留保のことで、剰余金に余裕があれば多少の減益があったとしても増配を続けることができます。上記の一覧にあげた明光ネットワークの例で見ると、利益剰余金が136億円あり、発行株数は2,780万株なので、多少の減益でも増配を続ける可能性は大と考えてよいでしょう。

配当の再投資を併用すれば資産増加速度もアップ

超低金利時代を生き抜く配当利回りの高い連続増配株を利用した「雪だるま式投資法」さて、連続増配株にはもう一つ資産を増やすポイントがあります。それが配当金による再投資です。配当金が入ったら、生活費に回さず同じ銘柄に再投資するのです。上記で増配シミュレーションしたオリックスの場合、5年間で合計1万7,000円の配当を受け取っていますので、買値の1,600円で割ると単元未満株投資を利用し、およそ10株追加購入できたことになります(単純計算の場合で、実際の細かい数値とは異なります)。

したがって、現在の持ち株数は110株に増えています。これに対し、2018年3月期の予想年間配当は最低で63円となっていますので、利回りは下記のようにアップします。

2018年3月期 (63円×110株)÷16万円=4.3%

前期比で1%の大幅な利回りアップとなります。さらに銘柄によっては株主優待で長期保有優遇制度(3年以上の保有で優待券の額が2倍になるなど)を実施している会社もありますので、優待利回りもアップするという副産物までつきます。これが連続増配株を利用した「雪だるま式投資法」の概要です。

いかがでしょうか?私たちはついつい目先の急騰している株に目がいきがちですが、連続増配を続ける優良株を長期に保有して、着実に資産を増やすのが株式投資の王道です。
配当利回りが年々アップし、しかも株数まで増える「雪だるま式投資法」。根気が要る投資法ではありますが、実践してみる価値はありますね。