女性専用シェアハウスへの不動産投資

2018年に入り、不動産業界を騒がせている話題の一つとしてスマートデイズ社が運営を行っていた女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」問題があります。年利8%を謳いオーナーを募集しながら、毎月の分配金が大幅に引き下げられたというこの問題。高金利で融資を受け、物件を購入したオーナー達がローンを返済できなくなっているため、スマートデイズ社と、オーナーとして融資を行ったスルガ銀行の三者間で集団訴訟に発展する様相を見せています。ではなぜこのかぼちゃの馬車問題は発生してしまったのでしょうか。

サブリース契約で相手を信用させた、信用してしまった

オーナー達がかぼちゃの馬車問題で取り上げている問題点は、年利8%の分配金が振り込まれる契約をわずか数ヶ月で反故にし、大きく収入が下がってしまったためにスルガ銀行から融資を受けたローンが返済できなくなってしまったという点です。スマートデイズ社はオーナーに自費で物件を建てさせ、そしてサブリース契約での安定収入を謳っていました。

サブリース問題はかぼちゃの馬車問題が起こる前から各地で多発していました。NHK のクローズアップ現代で特集が組まれたこともあるなど、サブリース契約を結ぶ時にオーナーの無知を利用し、収益が下がることをよく説明していなかった、また契約更新を拒否すると高額な違約金を取られるなどの問題もあったのです。

今回も通常の物件よりも高い収益性が得られるシェアハウス経営だから、これほどの年利が得られるともっともらしいアピールを行い、オーナーに対して営業を行っていたのです。オーナーからすればわずか数ヶ月での分配金の引き下げは、まさに想定外とでも言える事態でした。

また全国各地で頻発していたサブリースによるアパート経営と違い、しっかりと説明しながらあっさりとそれを反意し、分配金の値下げを持ちかけたことが大きな問題になっているのです。

オーナーも不動産投資を始めるにあたって、サブリース契約に関するトラブルを多くの人が調査をしていたはずです。その従来のサブリース契約のようなリスクがないとアピールしながらも、あっさりとその契約を反故にして分配金の大幅な減少を持ちかけるのは、大家からすれば到底許されることではありません。

人材紹介ビジネスの収益も当てにしたビジネスモデルだった

スマートデイズ社では、このビジネスモデルがどのように運営できると思っていたのでしょうか。 シェアハウスは確かに収益性が高いです。しかし、入居者の出入りも激しいため、マンションやアパートと比べると管理の手間もかかります。そのためシェアハウス経営のノウハウがない場合は管理費が利益を圧迫するために、最終的な利益はアパートやマンションと比較してもそれほど大きなものにはなりにくいのです。

年利8%ということは、スマートデイズ社の取り分を含めたら年利が12%から15%は必要です。かぼちゃの馬車の運営に関しては、住んでいる女性達に東京での仕事を紹介するというサービスも歌われていました。社員が現在足りない会社も多いため、人材紹介ビジネスも兼ねることでその紹介料を収入源として二重の利益を得られるビジネスとする予定だったのでしょう。

しかし人材紹介ビジネスの成果が思ったように生まれず、またシェアハウスの入居率も50%以下だったということで、到底8%ものの利回りを提供できる経営状態ではなかったことが推測されます。

スルガ銀行がとにかく貸付を焦った

「かぼちゃの馬車問題」はなぜ起こったのかまた今回の問題に関してオーナーに投資用ローンの融資を行っていたのは、地方銀行の一個であるスルガ銀行です。スルガ銀行は地方銀行の中でも、黒字額が圧倒的な数字を誇っています。現在の地方資金の中では唯一の勝ち組とも言える銀行でしょう。その黒字の背景には、とにかく高金利で独自の審査基準を用いて多数の法人・個人に融資をするというビジネスモデルがあります。今回のかぼちゃの馬車に関しても4.5%という非常に高い金利で融資を行っていたという噂があり、更には土地建物購入のため、1億~2億円といった高額の融資を行っていました。

それだけの融資をオーナーに行うため、スマートデイズ社の担当と組んで融資を受けるオーナーの年収や資産などの数字を改ざんしていたともいわれています。スルガ銀行が大幅な黒字化を達成する中、営業成績を上げることが求められ、融資担当者が不正を行ってでも数字をあげればいい。このように焦った結果が大量の不正な融資を産んだのかもしれません。

オーナーが物件の収益性や間取りを確認しなかった

今回スマートデイズ社を集団訴訟していようとしているオーナーたちはもちろん被害者です。しかし不動産投資においては、 持ちかけられた投資話を鵜呑みにしているだけでは到底成功は難しいものです。今回のかぼちゃの馬車も、物件とその設備、そして家賃面で通常の相場とかけ離れた金額が設定されていたといわれています。

とにかく低コストでシェアハウスを建てるため、シェアハウスの一番の魅力である広いリビングなどの共有部分を最低限のものにし、また個人の専用居室も狭い。それでいながら周辺の家賃相場よりも高い数字を設定したため、満室運営が非常に難しい条件が揃っていたということです。

オーナーはそういった家賃の物件の間取りなどを確認できる立場にありました。不動産投資に対する知識や経験があれば、物件を見た時点でとてもこの数字で貸し出すことはできない、収益性は確保できないだろうと見抜けるものだったのです。オーナーの方たちの落ち度といえるのは、そういった不動産投資の収益性を見極めるため知識が足りなかった点に尽きるのではないでしょうか。

スマートデイズ社が利益を追求しすぎた

それでもやはり責任を追うべきはスマートデイズ社です。サブリースのために建てた建物も、大変に質が低く、そのままオーナーたちが自分でシェアハウス用の物件に転用しようとしても、到底客付けができないような、低品質な物件であるとの報道もあります。

建築費を削減し、建物の建築費利益を得て、その後は高い家賃と人材紹介、派遣ビジネスで利益を得るという3重の利益構造は結局ほころびが生じ、あっさりと崩壊しました。結局は入居者に対する誠意、オーナーに対する誠意のいずれもが足りず、自社の利益のみを追求した結果、この問題が生まれたと言えるでしょう。

不動産関係でトラブルになりやすいのは、知識のない顧客に対する営業や契約の問題であることが多いです。とにかく売れればいい、契約さえできればいいと考え、その後のフォローなどを全く考えていなかった同社の責任は非常に重大だと言えるでしょう。今後の裁判次第では同社に対して多額の慰謝料などが請求されることも想像に難くありません。

現在オーナー達はスルガ銀行に対して支払いの停止を求めており、スマートデイズ社、スルガ銀行の担当者の責任問題に発展しそうな勢いです。サブリース契約に関しては、家賃収入の安定という魅力に囚われ、その数字や契約内容が妥当であるかどうかの判断を自分で行わない人も多いのです。

サブリースを持ちかけてくる企業側も当然ながら自社の利益のためにおこなっています。入居者がいないのに家賃が安定して振り込まれるとことは絶対にありません。きちんと物件自体の魅力があり、その家賃設定で満室経営が可能なのかを見極めて投資対象を選んでいきましょう。