国土交通省が進める不動産ESG投資とは

昨今注目されてきたESG投資とは

不動産投資を行う際に投資を行う物件を探す基準は様々ありますが、空室率を下げて収益性を上げるためにESGを考慮して行う投資もあります。
(※)ESG・・・環境(Environment)・社会(Society)・ガバナンス(Governance)の略。

ESGとは、たとえば二酸化炭素の排出量を抑えるなど環境に配慮していたり、人権問題や地域社会への貢献活動を行っているなどの地域社会への積極的な参加活動を行っていたり、企業として信頼性を高めるために、情報公開を行ったり社外取締役をおくなどコンプライアンスを重視していることなどをいいます。そしてそのようにESGを重視している企業が管理している不動産に投資を行うことをESG投資といいます。

ESG投資は機関投資家などが近年投資対象を選択する際に行う投資手法になってきましたが、近年の国土交通省の取り組みなどから不動産投資の対象を選択する手法として有効な判断基準にもなってきています。そしてそのことにより不動産の管理会社が地域社会の活動に積極的であれば地域の住民に好感を得ることができ、コンプライアンスがしっかりしていれば企業の収益性や信頼性を上げることができるため、ESGを重視して投資を行うことは結果的に優良な物件に投資を行うことになります。

ESG投資に向けた国土交通省の2種類の取り組み

実際に2017年6月21日に国土交通省は不動産投資市場の拡大に向けたアクションプランを発表して、土地や不動産の分野が成長していくことを目的にした取り組みの促進と、2020年頃までに資産総額を倍増させて不動産市場の拡大を図ることを目標に掲げました。そしてこのアクションプランの中にESG不動産投資に関する基盤整備がありました。

具体的には環境性と快適性そして健康性に優れた不動産を供給することを促すために不動産投資市場政策懇談会を設置して、ESG投資の普及促進に向けての勉強会などを行うことになりました。
実際には現状では不動産に対してはESGの基準が存在していないため、投資の対象になる不動産の中には空調や採光が悪いなど、暮らしている人の健康面や快適性に影響が出てくることもありました。しかしESGに向けての基準を設ける認証制度や居住者が健康的で快適に暮らしていけるかを評価する鑑定体制を確立することによって、質の高い不動産を多く提供することが出来、結果的にESG投資による不動産投資を促進させることが可能となります。

そのようなことからESG投資の普及促進に向けての勉強会が開催されるようになり、その勉強会には不動産コンサルタントや不動産鑑定士の関係団体など、不動産のESGに関して専門的な立場にある財団や会社などから1名選出され、合計で11名が参加して評価基準に関して検討されています。
一方、不動産の認証基準を決めていくための勉強会も設置され、不動産の鑑定などの専門的な機関などから7名が選出され、オブザーバーとしてESG投資の普及促進に向けての勉強会に参加しているメンバーが1名参加しています。

国土交通省が3分野に分けて検討した不動産の評価基準に関する中間報告を発表

そしてESG投資の普及促進に向けての勉強会を繰り返して開催して検討してきた結果、2017年12月21日に認証制度の案に関する中間報告を国土交通省が発表しました。そしてその発表された中間報告では、オフィスビルの基本的な性能や、維持管理計画などの運営管理、そして居住者のメンタルヘルス対策の3分野に分けて健康性と快適性や利便性そして安全性に関して評価することが定められました。

具体的には健康性や快適性の基準としては、部屋の空間的な広さや遮音性そしてリフレッシュスペースの有無などを評価対象にすることが示されていますし、利便性の基準としてはエレベーターや通信設備の有無や打ち合わせスペース、そして業務の効率性やコミュニケーションに関する要素などが評価対象に含まれています。そして安全性の基準として耐震性能や災害対策そしてセキュリティなどが評価対象に含まれていますし、揮発性の有機化合物に関する対策の評価も含まれていて、これらの評価を設計段階と運用段階で実施して一回承認されると3年~5年間有効となります。

このように国土交通省を中心にしてESG投資を促す流れが始まっていますが、居住者としても健康で安全な居住空間があればそこに暮らしたりそこで働きたいと思われるだけにこの動きがどのように発展していくのかが注目されます。