重要な米雇用統計の指標発表とエントリー

今回はアメリカが発表する経済指標の中でも極めて重要な雇用統計の解説をします。FOMCなどの金融政策発表をのぞけば、米雇用統計は最も大切な数字だといっても過言ではないでしょう。株式市場、為替市場などが雇用統計の発表の前後で大きく動きます。ひと月に一回発表される雇用統計ですが、雇用者数の伸びと失業率が発表されます。

最も重要な米雇用統計について

雇用統計は通常、毎月第一週目の金曜日に発表されます。通常というのは、そうでない月もあるからです。実は今回の3月は普通でないスケジュールで、第一週目ではなく第二週目の金曜日に発表されます。雇用統計に注目している人の中には驚いた方もいるかもしれませんが、これはあくまで経済統計が出揃う日数から計算しているからです。余談になりますが、2月は毎月の電話代やインターネット料金なども少し遅く支払い期限が来ているはずです。これは2月が28日しかないことからそうなっていますが、経済統計や支払いなどは月末ではなく20日や30日サイクルで動いているものも多いようです。とにかく今回の米雇用統計発表の日はいつものように第一週の3/2(金)ではなく、第二週目の3/9(金)ですからお間違えないように。ただ今回のように変則的になることもありますが、普通は毎月第一週目の金曜日と覚えておいて間違いありません。

雇用統計の中身は非農業部門雇用者数と失業率

雇用統計の中身は、非農業部門雇用者数と失業率の二つです。これに平均時給が加わりますが、市場が判断するのは先の二つです。非農業部門雇用者数は雇用者の増減で表されます。例えば2/2に発表された1月の雇用統計は

非農業部門雇用者数  市場予想 18万人 結果20万人
失業率        市場予想 4.1%  結果4.1%

これまでの統計を以下、表にまとめました。

非農業部門雇用者数

非農業部門雇用者数

このように0~30万人くらいまでの範囲で数字がプラスになったりマイナスになったりします。ほかの予想と同じようにこの数字が市場予想より良ければ株式市場は上昇し、悪ければ下がります。為替の場合は市場予想より良ければ円安、悪ければ円高になります。
今回は外為オプションでの勝負なので為替(FXとバイナリーオプション)に焦点を絞って説明します。

雇用統計の数字が良いとアメリカが順調に利上げをしてゆくということで米利上げ⇒ドル高円安になります。数字が悪いと利上げが見送られる可能性があるということでドル安円高になります。このトレンドがどれだけ続くかはまた別の話ですが、分足レベルで発表前後にしぼって考えると、およそ一時間くらいはトレンドが長く続くことも多いです。一分足の分析に入る前に失業率の統計も見ておきましょう。

失業率

失業率

2012年は8%台だったのが毎年1%ずつ改善して現在は4%台になっています。これはアメリカの実体経済がかなり良くなっていることの反映です。2018年の4.1%の失業率はほぼ完全雇用に近い状態です。2012年に比べると失業率が半分に下がっているので目覚ましい改善と言えますね。現在はほぼ理想的な状態で、これ以上失業率が下がれば、人手不足などの問題が逆に起きてくるので、数字の上では今がベストでしょう。失業率が存在するのに「完全雇用」というのは矛盾しているようですが、そこは現実と数字の違いです。少し待機人数があるほうがうまく経済は回ると考えてください。設備も人間も稼働率100%という状態は危険なのです。

さて本題に戻りますが、この数字も基本的に低いほうがいいと考えられています。雇用者数の方が重要視されるか、失業率の方に注目されるかは、その発表ごとに違いがあります。市場予想より両方良ければ株式市場は上がり、為替は円安になります。2018年現在は失業率は低い状態で安定しているので雇用者数の方に関心がよせられている感じです。

雇用統計の時の実際のトレード例

9月雇用統計発表 10/6

9月雇用統計発表

非農業部門雇用者数  市場予想 +8.0万人 結果-3.3万人
失業率        市場予想 4.4%  結果4.2%

ハリケーンの影響で雇用者数の減少が予想されていましたが、前月比マイナスになってしまいました。しかし失業率が0.2ポイント低下したので雇用者数の低下は特殊な要因による一時的な現象だと捉えられたようです。発表前が1ドル=112円90付近、発表直後は113円30近くまで円安になりました。その後崩れることなく23:00には113円30付近で判定されているので、発表直前の同値付近(ATM)で円安に乗っていれば余裕で勝てたでしょう。実際にこの時は円安にかけて勝利でした。雇用統計は一度トレンドが発生すると50銭~2円くらいの値幅で動きます。それにチャートのように1時間以上トレンドが続くケースも多いです。この時は22:30の発表がで生じた上昇トレンドが0:00まで持続しています。

雇用統計の判断材料ですが、ちまたには多くの解説が溢れています。ADRなどの事前の民間の雇用統計の数字や、新規失業保険申請数から予想をする方法もあります。雇用統計の場合もあくまで市場予想と比べて実際の数字がどうであるかによって相場が動くので、それが予想を難しくしているところでもあります。統計を研究して勘を養えば2勝1敗くらいの確率で予想数字より良いか悪いか的中できるようにはなるでしょう。

しかし数字を当てても相場が逆に動くこともたまにあるので勝てる確率はそれより少し下がると思います。雇用統計の発表時には実はチャートを使った予想が有効で、直前の相場の流れと逆にたてることでかなりの確率で勝つことができます。なぜそう動くのかはわかりませんが、市場予想との乖離が存在しているのかもしれません。特にバイナリーオプションの場合は事前に動いている方向のプレミアが高くなってしまうので、上げているなら下げ(円高)、下げているなら上げ(円安)にかけられるというのは有利な点です。雇用統計の場合は、統計の事前予想は一切せずに、チャートの形のみで判断する方法も有効です。

10月雇用統計発表 11/3

10月雇用統計発表

非農業部門雇用者数  市場予想 +31.3万人 結果26.2万人
失業率        市場予想 4.2%  結果4.1%

30万人台の事前の市場予想だったのですが、実際は26万人だったので発表直後に大きく円高に振れました。(114円⇒113円70銭)しかしすぐに底を打って反騰して22:00の判定時間にはほぼ発表直前の値段まで戻しています。相場環境にもよりますが、このようにここ数年は雇用統計の数字が悪くても底が入って戻すケースが多くなっています。雇用統計は政府の金融政策に直結していますが、かつて金融不安があった2012年ころには雇用統計の数字が悪いと1円以上円高になって底ばいの形になるケースも多く見受けられました。

しかし現在はアメリカの実態景気が良いので、基本的に景気に対する信頼が揺らいでいません。悪い数字が発表されても瞬間的に底を打って反騰する場合もよく見受けられます。その場合は判定時間との兼ね合いになりますが、発表直前の値段まで戻して終わるパターンもたまにあります。この動きを利用して数字が悪かったら下げたところで上昇(円安方向)への建玉をするという作戦も成り立ちます。

雇用統計に関して言えばここ数年は数字が悪ければ発表直後に大きく下げて、その後すぐ底を打って戻すというパターンが多くなっています。反面、数字が良ければそのまま上昇することも多いです。この性質を利用して発表後にエントリーする作戦も効果的かもしれません。