前回は日米の株式市場が底をつけたというお話をしました。たしかにNY市場を中心に大幅に株価指数は回復しましたが、パウエル議長が3月の利上げを宣言したことで現在は再び調整局面になっています。本来はFX中心に分析をしていきますが、株式市場が再び重要局面を迎えているということで今回も天井を打って下げてきた日米の株式市場を分析してみようと思います。
日経平均は再び下値に
日経平均の動きですが、NY市場が底値を打ったことで一時は日経平均も底値から1,000円以上上昇して22,000円台まで戻っていました。しかし戻りはNY市場に比べて鈍く円高の影響が伺えました。円高の進行は株式市場があまりにも大きく下げたために3月のFOMC(3/21~3/22)での利上げが不透明になったのが理由です。しかしここにきてパウエル新議長が利上げを行うことを議会で発言しました。このことでNY市場の株価は下落、日経平均も同じように下げています。ただドル円為替のほうは106円付近でもみ合う不安定な形になっています。
同じような動きをしている日米の株式市場ですが値幅では明らかに違いが見えます。一番戻しているのがナスダックで底値からほぼ全値に近い戻りを見せました。その次はNYダウですが予想よりも早く三分の二戻りから下げに転じてきています。日経平均は円高の影響もあってわずか1,000円ほど戻った位置から再び下げて現在ではほぼ最安値の水準まで売られています。
21,000円は2月SQ時の最安値のサポートラインなのでとても重要なポイントになっています。ここを切ってくれば新安値ということで底なしになるでしょう。3/3の金曜日のナイト取引で一時21,000円を割り込んで20,600円台がありました。しかしそこからはNY市場、とくにナスダックの立ち直りがあって最後は21,000円台を回復して終えています。
来週(3/6~)はMSQの大事な週 日経波乱か
来週は三ヶ月に一回のMSQの週です。2月Sは大波乱でしたが今度のSQも波乱含みです。NY市場と日経平均が調整局面にあるのでSQ値自体大きく下がる可能性があります。こういう流れの時はほぼ間違いなく売り仕掛けが強くなるので下落トレンドが加速する可能性は高いと思います。注目のポイントは月曜日からのNY市場の動きですね。一番重要なのは金曜日のナイトで一時20,600円台まで下げた日経平均が、場中の動きで21,000円を割れてくるかです。21,000円を割り込めばサポートラインを切ってきたということで売りが加速するでしょう。あとは実際のSQ値の算出になりますが、これもかなり売り方有利に操作される確率が高いと予想します。2月SQも直前の木曜日の夜にNYダウが大きく売られて、21,900円付近だった日経平均が21,100円まで下落してSQ値が算出されたように、今回も安値になると見ています。
もし、21,000円のサポートラインを切ってきた場合にはどこが下値目標になるかということですが、下げが限定的ならば2万円、2月と同じ対等数値による下げならば19,000円ということになります。目標数値を見れば信じがたいところもありますが、日経平均は動き始めれば3,000~4,000円程度の動きも珍しくないのでそこまで下がる可能性もあるでしょう。時期的には3月SQ前後で、2月SQのパターンならばまさにSQ当日が底値になる展開もあります。
NYダウ 日足
NYダウはパウエル議長の利上げ発言から下げてきましたが金曜日には小さな陽線が出ました。ただ指数の方は77ドル安と下げています。形的にはまだ完全な暴落型ではありませんが400ドル以上の下げも見せるなど極めて不安定になっています。本当に下げにブレーキがかかって来たかどうかは月曜日からの展開をみればわかるでしょう。一応来週も日経のSQ週だということで下げ圧力は強いと見ます。
ナスダック日足
ナスダックの方は金曜日に大きな陽線がでました。場中に70ドル安付近があったのですが最後は77ドル高と切り替えしました。これで本当に底をつけたかどうかは月曜日からの動きでわかります。ただ上値では売りが強いのでこのまま反発するのは難しいと見ています。月曜日に再び陰線を出せば続落する可能性が高いです。ただ、ナスダックの今の動きを見ればこのまま総崩れになってしまう可能性は低いと思います。これは2月SQ時に底をはっきりとつけていることが大きく、戻りもほぼ全値に近く戻しているので基本的に強い相場が続いています。日経もNYダウも弱くなってきていますがナスダックはかなり強いので、ナスダックが全体の相場を支えているといってもいいでしょう。逆にいえばナスダックが本格的に崩れてくると世界同時株安になる可能性があります。
ドル円相場は下落トレンド持続
ドル円相場は予想通り円高になってきました。ボリンジャーバンドでいえばσ-3まできたところで推測通り目先の底になりました。しかしそのポイントからの反発はわずか2円で再び円高になっています。現在は日足、週足、月足すべてが下降トレンドです。次の目標値は日足で104円付近です。下げては買い戻され買い戻されては下げる流れが続いていますが、円高の流れはしばらくは止まることはないでしょう。
週足で見てもこのように雲を下抜けた形になっています。去年は一度瞬間的に抜けたところが底値になっていますが、今回は本格的なドルの下降相場=円高トレンドが続くものと思われます。去年の108円付近の下値ラインを切ってきているのでこれは底なしと見るべきです。3月の利上げ発言がありましたがドルが強い相場ならば反発しても良さそうなのに為替はあまり反応していません。このままの状況だと3月FOMC(3/21~3/22)で利上げが発表されても反応薄である可能性があります。もちろんまだ時間があるのでその時にドル円相場がどこまで行っているかも重要です。中途半端な値段ならば利上げでも反応なく終わって現在の円高継続の流れが続く可能性が高いと思います。もし極端に円高にふれてしまっているのならばそこから反騰する可能性もあります。どれくらいが円高の限界かを予想するために月足を見てみましょう。
ドル円月足
このように月足ベースでも小さな動きでゆっくり下げていましたが、はっきりとした動きになってきました。前回までも説明したように月足ではドル円相場は下落=円高の流れになっています。下降トレンドのレジスタンスラインが書き入れてありますが、これは2015年夏場に発生して2016年初頭~2017年末と続いてきているラインなので極めて重要です。かなり値幅もあるのでこの動きをたどると今回の円高目標は1ドル=100円になります。予想ですが、今年前半に100円をつけて100円~110円のボックス内を動くような値動きになる可能性が高いと思います。1ドル=100円は思い返せば2016年のGW付近で麻生財務大臣が「行き過ぎた円高になっている」と口先介入をして底値になったラインです。現在は市場は大きく動いていますが大きなファンダメンタルズの悪化はないので1ドル=100円の水準はドルの大底=円高のピークになると確信しています。しかし去年末からの相場展開でここまで円高が進むとは予想外です。現在は100円の大台のゾーンまで円高の動きを見極める状況になっています。