今回はバランスオブパワーの使い方について説明していこうと思います。バランスオブパワーはイゴール・リヴシンによって開発されたテクニカル指標です。相場が強気の状態にあるのか弱気の状態にあるのかを判断してくれます。さらにトレンドが継続するか、そろそろ天井や底を迎えるのかということを判断するのに役立ちます。

バランスオブパワーは売買ポイントを判断するというよりは、売買ポイントを判断できる他の指標と併用して威力を発揮します。そのことを踏まえた上で、今回はバランスオブパワーの基本的な情報、実際の取引、注意点などについて説明していこうと思います。この記事を見れば、バランスオブパワー(BP)の基本的な知識が身に付くでしょう。

トレンド相場で有効

FXの取引ツールを開けば、数々のテクニカル指標が用意されています。テクニカル指標はトレンド系とオシレーター系に大きく分けることができます。トレンド系の指標ではトレンドの方向や強弱を見極めるのに役立ち、オシレーター系の指標は相場での買われすぎや売られすぎを見極めるのに役立ちます。一般的にトレンド系の指標はトレンド相場で、オシレーター系の指標ではレンジ相場で有効となります。このうち今回紹介するバランスオブパワーはトレンド系の指標にあたり、トレンド相場の形勢を判断するのに役立ちます。

ここでトレンド相場の特徴を振り返っておきましょう。トレンド相場とは上昇か下降、どちらか一方向に値動きが続いているような相場です。もちろん、ずっと同じ方向に値動きが続いているわけではなく、波打つように上下しながら値動きします。このときバランスオブパワーを使えば、今現在レートがトレンド相場の最中にあるのか、それともトレンド相場の終わりかけにあるのかを判断してくれます。それを実践的なトレードに応用すると、ここでエントリーしていいのか?そろそろイグジット(決済)した方がよいのか?という問いに答えてくれます。

バランスオブパワーの見方

次にバランスオブパワーの計算式を見ていきます。実際の取引では計算式まで理解していなくても大丈夫ですが、理解を深めるために大体こんな感じかという程度でよいので計算式を確認しておきましょう。バランスオブパワー=(終値-始値)/(高値-安値)

この式によってバランスオブパワーの値が導出されます。バランスオブパワーの値は-1から+1の間で推移します。+1に近ければ強気相場(ブル)、-1に近づけば弱気相場(ベア)と表現されます。トレンド相場の勢いがついているときはバランスオブパワーで+1や-1に近づいている状態になります。勢いづいたトレンド相場はやがて終了を迎えます。終了を迎えると、徐々に相場の勢いが無くなってきます。そのときバランスオブパワーの値は0に近づいていきます。

さらにトレンドの終わりかけにはダイバージェンス(逆行現象)も見られるようになります。ダイバージェンスとは為替レートの動きと反対方向にテクニカル指標が動いていくことです。例えば上昇トレンドで考えてみましょう。上昇トレンドの勢いがついているときは為替レートの動きと同じ方向にバランスオブパワーも動いていき、+1に近づいていきます。しかしトレンドの勢いが衰えてくると、バランスオブパワーの動きは平行になり、場合によって為替レートは上昇しているのにバランスオブパワーは下がっていくこともあります。

このように、バランスオブパワーと為替レートの関係によってトレンド相場の状態が分かります。トレンド相場を診断してくれるという表現がぴったりかも知れません。それでは次にバランスオブパワーの実践的な使い方を説明していこうと思います。

エントリーポイント

ここからはバランスオブパワーのチャートを見ながら、エントリーについて考えていこうと思います。下のチャートではローソク足の下にバランスオブパワーのチャートを表示しています。ローソク足を見れば一目瞭然で、上昇トレンドが発生しているのが確認できます。

エントリーポイント

特に強い上昇トレンドが発生しているのが赤枠です。この部分のバランスオブパワーを見ると、+の値である陽線が多くなっています。さらに陽線の値を見ても大きくなっており、+1に到達している箇所もあります。このようにバランスオブパワーからトレンドの強さを見て取ることができます。

さて、バランスオブパワーを使ってどのようにエントリーの判断を行えばよいでしょうか。最初に書いたようにバランスオブパワーはあくまで相場の強弱を判断できるものにすぎず、エントリーサインまで見極めることはできません。そのためほかのテクニカル指標と併用することが望ましいといえるでしょう。

相場の強弱を判断

例えば、同じトレンド系の移動平均線です。上のチャート緑色で囲った地点では、中期移動平均線が長期移動平均線を下から上に抜けています。いわゆるゴールデンクロスが発生しており、ここでエントリーすれば高確率で上昇トレンドの波に乗ることができます。エントリーまでは、バランスオブパワーで相場を判断する⇒単純移動平均線でエントリーポイントを探る、という手順をとります。もちろんバランスオブパワーと併用するテクニカル指標は移動平均線でなくても構いません。

イグジットポイント

エントリーが終了したら次はイグジット(決済)を考えましょう。イグジットについてもエントリー時と同じようにバランスオブパワーを参考にすることができます。

イグジットポイント

再び先ほどのチャートを見ましょう。赤枠は強い上昇トレンドが発生していると判断することができる局面です。この局面ではバランスオブパワーで+の値、つまり陽線が多く見られました。その次の局面、黄色の枠のバランスオブパワーに注目してください。今度は陽線ではなくて陰線が多く発生しているのが確認することができます。ローソク足を見ても分かるようにここでは下降トレンドが発生していることが分かります。

移動平均線を使って判断

それでは再び移動平均線を含めたチャートを見てください。先ほどのエントリーポイントが緑色の丸印でした。そこから予想通りに値上がりしていき、含み益が得られたことになります。その後、値下がりし始めたところでバランスオブパワーを見ると陰線が多くなっていきます。陰線が多くなってきたらイグジットを考えましょう。イグジットポイントはエントリーポイントと同じく移動平均線を使って判断します。ちょうど中期移動平均線が長期移動平均線を上から下に抜けたところ、デッドクロスの発生地点がイグジットのポイントです。

トレンド相場の強弱を見極める

今回はバランスオブパワーの使い方を紹介しました。バランスオブパワーではトレンド相場の強弱を見極めるのに最適な指標であることを説明しました。ただし、バランスオブパワー単独では売買ポイントの詳細まで判断することができないので、他のテクニカル指標の力を借りることになります。今回は移動平均線を紹介しましたが、一目均衡表などのトレンド系の指標を使ってもよいでしょう。また、オシレーター系の指標であってもストキャスティクスのようにトレンド系でも対応可能な指標を使うという手もあります。どれが最適かというのは難しいところですが、その辺は実践で試しながら選ぶようにしてください。

最後になりますが、損切りはしっかりと行うようにしてください。他のテクニカル指標を併用したとしても、必ずダマシは発生します。予想と反対方向に動いたら迅速に損切りして、一度の損失を最小限にとどめるように心がけるようにしましょう。退場せずに粘り強くトレードしていれば、いつか安定的に勝てるようになるはずです。