2月はNY市場、日経平均ともに乱高下しました。一応日米市場ともに底をつけた形になったのですが、日経平均の方は21,000円の底値の方に再び動いて下げました。NYダウの方もパウエル新議長の利上げ続行発言で再び調整色を強めました。しかし3/9に発表された米雇用統計が30万人を超える増加と大幅改善されていたことからNYダウは440ドルの上げになり、それまでの弱気な基調が一転しました。3/22に利上げが予定されていてまだ少し波乱は残っていますが、一応底入れのトレンドははっきりしてきたと思います。

日経平均はダウントレンドの底だが、NY市場との連動で上昇も

日経平均日足

日経平均日足

日経平均はこのように三角波動で今だにダウントレンドの底に沈んだ形になっています。21,000円の底を割ってしまうかどうか微妙な感じになっていますね。主な理由は円高の進行があげられるでしょう。しかしナスダックが高値に近いのとNYダウが大幅上昇してきているので21,000円で持ちこたえる可能性も高くなってきました。ナイトでは一時20,600円台がありますが今の状況では底値買いが入っています。似たようなパターンは過去にもあります。

日経平均 2013年12月~2014年7月

 

日経平均 2013年12月~2014年7月

2014年最初のFOMCで国債の買い入れが減らされて株式市場が調整した時の日経平均の動きです。高値をつけたあと調整をしましたが14,000円が底固かったのでそこがサポートとなり反発しています。期間的には今回の方が短いですがそれだけ市場の値動きが大きいこともあります。2014年のケースも瞬間的に大台を割り込んだ時がありましたがそこはむしろ買い場になりました。もしNY市場の動きと完全に連動したら今回もかなり近いうちにレジスタンスの下降ラインをブレイクして上昇してくる可能性が高いです。市場的にはかなり環境が良くなってきました。

急転する森友問題 唯一の懸念材料か

現在、日本国内で大きな問題となっている森友問題ですが、政府トップレベルの人間の名前の記録が改ざんされた可能性が浮上しています。去年安倍首相が明恵夫人も含めて関与していたら辞める発言をしていたこともあり、かなり深刻な状況になりつつあります。もし改ざんが本当のことなら大臣クラスの辞任がやむ負えない展開になるでしょう。場合によっては安倍首相本人の身進退問題に発展する可能性もあります。現状では有力な後継者も存在せず、野党が政権交代できる準備も整っていないだけに、かなり不透明な状況が生まれつつあります。もし安倍内閣総辞職ということにでもあればもちろん株価は大暴落します。アベノミクスで支えられてきた相場なだけのその時の衝撃は計り知れないでしょう。相場の環境がよくなっている時だけになんとも残念なことですが結果としてはそうなります。ただ、目先の動きはあくまで森友問題は保留のような形で外部環境を中心に日経平均は動くでしょう。本当に株価が暴落するかどうかはもっと自体が煮詰まってからだと予想します。4月頃には展開がはっきりしてくると思います。

森友問題はこれから解明されるので深くは立ち入りませんが、例えば新聞社やテレビ局などが国有地などを安く払い下げてもらっているのは事実です。日本では公共性が高いと認められる施設に対してはある程度国有地を安く払い下げるような伝統があって、それは時には病院や学校にも及んでいます。もともと広い土地を必要とするだけに、許認可の問題も含めて国から便宜を図ってもらうようなケースは存在します。問題は実際にどれだけの政治家がこの問題に関与したかでしょう。もちろん書き換えが事実ならアウトです。これから国会とマスコミが国民の前で検証することになり、検察もそれにからんでくることになるでしょう。まさに安倍内閣の存続に直結するような事態です。もちろんこの問題と安倍首相が続投すべきなのか辞任すべきなのかはまた少し異なる次元の話です。今は経過を見守りましょう。

もちろんいきなり総辞職というようなパターンになれば別ですが、どんな展開になってもそこに行き着くプロセスがあるので今は状況を注視する必要があります。基本的にレジスタンスの下降トレンドをブレイクして上昇してくるようであれば「買い」逆に21,000円を完全に割り込んで大きく下げてくるようであれば「売り」です。森友問題がなければNY市場の好転から「買い」なのですが不透明さは残ります。NY市場がこれほど戻しているのに日経平均が底値から500円上がったくらいの低い位置にあるのは主に円高のせいです。しかし見方を変えれば、「株価の予知機能」が働いていたせいだったとも言えます。あとは内外の機関投資家がどう動くかでしょう。これからの展開に要注目です。

日足ベースでは底をつけたドル円相場だが

ドル円日足

ドル円日足

このようにやはりボリンジャーバンドでは2/15付近がドルの安値で、一応ドル円相場に底が入った形になっています。日足だけ見るならばもうそろそろ反発しそうな形です。この為替チャートを日経平均と見比べてみれば面白いことがわかると思います。日経平均の下げトレンドと同じ形をしていますね。去年末から今までは日経平均とドル円相場は関連性がない時期が多かったですが、ここに来てかなり連動してきました。ちょうど下降トレンドのレジスタンスラインで頭を抑えられているのも同じです。

ここから先の予想ですが日経平均とドル円為替が連動して上昇するときには同じように上昇、もし下へ行く時には同じように下落すると思います。つまり株高と円安(チャートは上昇)、株安と円高(チャートは下落)のパターンになりそうです。外部環境、とくにNY市場の動きに影響されれば日経平均上昇+円安の流れになって、森友問題など国内政治の混乱が深刻に受け止められれば日経平均下落+円高になるでしょう。現在においては外部要因の方が強い気がします。しかし、内閣総辞職などが現実味を帯びるような展開になれば当然暴落します。ただそれがはっきりするにはまだ先の話です。当面は日経平均も為替も違う材料で動いていくものと思われます。

ドル円週足

ドル円週足

はっきりと一目均衡表の雲の下を下げてきました。ここから底なしになる可能性もあります。対等数値を取るのならば一番左側の最高値からの下げの第一波動と対応させて10円くらいです。そうすれば104円付近が底ということになります。しかしそういう中途半端な目測をするよりも日経平均と一緒に上昇してくるか下落するかを考えたほうがいいでしょう。

ドル円月足

ドル円の月足ですがこのような少し長期的に見たほうがいいかもしれません。いまだに2015年8月からの下降トレンド=円高のラインを抜けてきていません。トランプ政権の貿易不均衡是正政策もありますが基本的なトレンドは「円高」です。今は雲の中なので余計に調整色が強くなっていますね。このまま行き着くところまで行けば100円ちょうどが下値です。

まとめ

★NY市場は雇用統計の改善で立ち直りへ。日経平均は円高と森友問題が重し。反発力も鈍い。
★日経平均は21,000円付近が正念場。下へ割り込むと本格的に下げる可能性あり。環境的には好転しているので国内政治の展開に注目。
★ドル円為替は日足でもみ合うも今だに底が見えず。日経の上昇には為替の立ち直りが必要。1ドル100円に接近する可能性もある。