先週(1/22~1/26)は少し大きな動きがありました。落ち着いていたと思われたドル円相場が大きく動き、一ドル=110円のラインを突破してきました。それまではほとんど動きがなかっただけに、この動きは急と言えます。ただ極端に円高になるような局面ではないためにむしろ現在の110円割れの円高の局面はドル買いのチャンスだと思います。今週は動いてきた為替を中心に解説します。
日経平均は高値もみあいが続く
日経平均 日足
日経平均はいまだに高値でのもみ合いが続いています。大発会で11月SQの時からの上値の節目23,000円を大きく抜いてから日経平均は1,000円あまり上昇しました。その後もNY市場が安定していることから現在もしっかりした動きになっていますが、流石にここ数日の急激な円高で23,500円付近まで下げてきています。
前回の二ヶ月近いもみ合いは22,000円~23,000円のボックスだったので今回もそれに近い形になる可能性があります。もし23,000円前半の値段が入ってくれば「買い」でいっていいでしょう。NY市場とともに日経平均は歴史的な高値圏にありますが今だに大崩れするような気配はありません。高値でのボックスを作りながらも徐々に値段を切り上げていくトレンドになると予想します。ただ短期的には2月のSQまでは調整になると思えます。今はエネルギーを貯める時期なので24,000円を超えてくるのは3月以降でしょう。
3月になれば企業決算も出てきます。今年も上場企業中心には好決算が期待されますが日本経済全体のGDPの伸びが小さい(良くて2%付近)ので景気の実感は限られています。ただ世界経済、とくに金融の環境がいいので日経平均は上昇してゆくでしょう。年央の25,000円も大いに期待できます。
急に円高が進んだ為替市場 しかし下値は限られる
ドル円 日足
ドル円為替の方も少し円安方向になりかけていたのですが、年明けからいきなり円高が進行してきました。1/26現在で1ドル=109円付近ですが去年9/8の108円割れを伺う位置まで来ました。現在の雰囲気だと108円まではいってくるのではないかと思われます。
年明けて急速に円高が進みましたがファンダメンタルズが急に変わったわけではありません。去年の円高の場面はトランプ大統領の貿易是正発言や北朝鮮情勢の悪化がありましたが、現在は日本を取り巻く周囲の環境は落ち着いています。基本的に去年のFOMCの利上げの時に円安トレンドになりきれなかった反動が来ているものと思われます。日銀会合での黒田総裁の物価目標達成に自信があるとの発言が取り上げられ円高がさらに進みましたが、会合以前から今年に入って円高は進んでいたのでこれは後付けだと思います。
あとで長期チャートを載せますが、月足で見ればドル円相場の円高は持続しています。そのトレンドがまだ現実の為替相場を動かしているのかもしれません。
ドル円相場は三尊底へ ドル買いの好機
ドル円 週足
週足ですが一目均衡表の雲の下限まで来ました。前回は雲を少し抜けたところが下値になりましたが今回も似たような動きになるのではないかと予想しています。もちろんここから本格的に下げれば完全な円高波動になってしまいますが、まずは当面は4/17の108.13円、9/4の107.32円と合わせて三尊底を付けるかどうかを試す展開になるものと思われます。
もしここで三尊底が入れば下値は固く、下値の108円のサポートライン、上値の115円のレジスタンスというきれいな108円~115円のボックス相場ができあがり、今年もその中でドル円相場は動くでしょう。このボックスは去年中盤からの動きで、年末は高値に張り付いた動きだったのが年初の円高で下限まで来ました。一応、ここはドルの買い場だと予想しておきます。
大底を入れればまた115円の円安ゾーンまで行くでしょう。これは理屈ではなく現在の円相場が108円~115円をボックスとした非常に居心地のよいゾーンにあるということです。純粋にテクニカル的な動きですが、アメリカの利上げ+資産売却の流れと貿易不均衡解消のための円高圧力がバランスを保っているのかもしれません。ここ二三週間が勝負ですが一応ドルの買い目線=円売りで行きます。二月に入れば情勢がはっきりしているでしょう。ここからもし崩れれば去年の107.50を下回るということで次の底値を模索することになります。その可能性は低いと思いますがひとつだけ気になることがあります。
長期レベル 月足ではドル円は下降トレンド
ドル円月足ですがこのように月足チャートでは2015年の夏場~11月につけた円安のドルの高値からずっと下落トレンドが続いていることです。トランプ大統領誕生直後は円安になりましたが去年(2017年)年明けに1ドル=120円を目前に反落、円高になって今に至っています。昨年11月には12月にFOMCで利上げがされるということで115円直前まで行きましたがまたも円高トレンドになってしまいました。もし今回の円高が107円~108円付近で底が入らなければ、現在の月足ベースでの円高が続く恐れがあります。
ただその場合も流れは緩やかで円高と円安を繰り返しながら雲の中をゆっくりと下げてゆくパターンになると思われます。現実に起きている日足レベルでの円高の流れが、週足での107~108円付近の底、または月足での円高トレンドとどう重なってくるか興味は尽きないところです。月足の半年サイクルを取るならば次の底=円高のピークは2月になります。
ユーロ円とユーロドルの動向
ユーロ円週足
ユーロ円ですがこちらは安定の円安トレンドが続いています。ユーロは一度トレンドが始まればかなり長期間にわたってそれが続く傾向があります。2016年はほぼ一年を通じて円高、逆に2017年は円安でした。今年は去年の流れを受けてそのまま円安が続いています。現在は(1/27)1ユーロ135円付近ですが少し日足では円高になりましたが限られた動きです。
ドル円の方もこのユーロ円のようなゆっくりとしたトレンドで円安に向かうような動きが理想なのでしょう。しかしドル円にはトランプ政権の政治的圧力が働いています。ユーロのほうが政治的要因がない分、本来的な経済のファンダメンタルズを反映していると言えるでしょう。このままゆるやかに今年は円安に向かうか、あるいは高値でもみ合う形になると予想します。
ユーロドル月足
ユーロドルですがこのようにユーロ高ドル安が進んでいます。ここでもトランプ政権の姿勢が反映しているかもしれません。為替相場を見て分かるのがトランプ政権はドル相場を他国の通貨に比べて明らかにドル安に誘導しようとしていることです。政権によっては「強いドル」=「強いアメリカ」というような考え方を持つ大統領もいるのでトランプ氏はその真逆の考え方と言えます。
赤丸で示した2016年12月というのはトランプ大統領が誕生した直後でここでユーロドル相場はユーロの底入れ、翌年2017年1月から本格的にドル安が進んでいます。ここからがいわゆる政治レートの始まりなのでしょう。今はちょうど雲の上限に到達しています。ここから2014年のように再び反落してドル高方向になるのかはわかりませんが、現在のアメリカの政策とトレンドを見る限り今度は雲を突き抜けてさらに本格的なユーロ高になる可能性が高いような気がします。