【投資信託の資産配分の決定】資産配分は投資信託の運用効果に直結する
投資信託を運用する場合、効率的に利益を上げるためにはどのファンドにすればよいのかと考える人が多いです。確かに、信託報酬などのコスト面やファンドの種類はそれぞれ違うので、購入するファンドの選択は大切だと言えます。しかし、投資信託を運用する前に、どのような資産配分にするのかを決めておくことが一番重要です。

投資信託の資産配分とその重要性

資産配分とは、投資金をどの資産にどのくらいの割合で配分していくのかを決めることです。たとえば、毎月3万円を積み立てて投資信託を運用したとしましょう。その際、日本株式と外国株式がそれぞれ1万円ずつ、日本債券と外国債券がそれぞれ5,000円ずつという感じで、各資産への投資配分を決めていくのが資産配分です。投資信託の業界では、この資産配分のことをアセットアロケーションと呼んでいます。

なぜ、投資信託を運用する際、資産配分が重要になってくるのでしょうか。それは、投資対象の資産の内容によって、許容できるリスクの度合いが変わってくるからです。たとえば、日本株式に集中して投資したとしましょう。その際、日本経済が好調であるときは問題ありません。しかし、その逆の状況になってしまった場合、日本の各企業を株価は下落し、大きな損失を被ってしまいます。つまり、運用する際のリスクもそれだけ高くなってしまうのです。

一方、日本債券は日本経済が不況になると、その後は低い利回りの債券が発行されるようになるので、既存の債券の価格は上昇していきます。そのため、日本株式と日本債券に資産を配分して投資しておけば、日本経済が不況になっても、下落リスクが抑えられて、安定した運用をすることができるのです。さらに、外国株式や外国債券にも分散投資をしておけば、一層その効果は高くなります。

投資信託を運用する場合、自分の許容できるリスクと得たいリターンのバランスを考慮しながら、資産配分を決めていく必要があるでしょう。

投資信託の積極運用型の資産配分

投資信託を運用してどのような結果を得ようとするのかは人ぞれぞれです。その中でリスクよりもリターンを追及して運用したいと考えているのであれば、積極運用型の資産配分を取る必要があります。これは、株式の割合を債券の割合よりも多くして、より高いリターンを目指す資産配分になります。

具体的な資産配分ですが、資産全体の中で株式の割合が70%以上になるようにするのが一般的です。株式は、日本株式よりも高いリターンを得られる見込みのある外国株式の割合を多くします。外国株式の中には、先進国株式と新興国株式がありますが、よりリスクの高い新興国株式の割合を多くすれば、その分期待できるリターンも多くなるでしょう。

積極運用型の資産配分を組んで投資信託を運用すれば、年5%程度のリターンを十分見込むことが可能です。さらに、新興国株式の比率を高めれば、年6%から7%程度のリターンも期待できます。この場合、リスク許容度も高くなるので、一時的に資産価値が元本の半分になることもあります。ですが、長期のスパンで投資する人であれば、あまり問題ないと言えるでしょう。

また、つみたてNISAを活用して運用する場合、投資信託の中で最もリスクとリターンの高い外国株式を100%の割合の資産配分にする方法も一つの手です。つみたてNISA口座で運用された利益の非課税期間は20年という長い期間なので、高いリスクを取っても最終的には、元本割れしない可能性が極めて高いからです。高いリスクを取る分、得られるリターンもより高くなるので、その分非課税の恩恵を受けられることになります。

投資信託のバランス型の資産配分

資産配分は投資信託の運用効果に直結するある程度のリターンを得たいが、あまり高いリスクを取りたくない。投資信託の運用をしようとしている人の中には、このような考えを持っている人も多いのではないでしょうか。そのような場合は、バランス型の資産配分にして投資信託を運用するのが適しています。株式50%、債券50%の割合でバランスよく資産をふりわける資産配分であることから、このような呼ばれ方をされています。バランス型の資産配分で投資信託を運用する場合、年3%程度のリターンを期待することができるでしょう。

バランス型の具体的な資産配分を考える際、日本の公的年金を基準にする方法があります。
日本の公的年金は、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)という機関が、厚生労働大臣の寄託を受けて運用が行われています。その資産配分は、株式50%(国内株式25%、外国株式50%)債券50%(国内債券35%、外国債券15%)のバランス型となっており、ある程度の参考になるのではないでしょうか。

また、投資家から支持の高い良質なバランスファンドの資産配分を参考にするのも一つの方法です。株式50%、債券50%の資産配分となっているバランスファンドに「セゾンバンガードグローバルバランスファンド」と「世界経済インデックスファンド」があります。この二つのファンドの大きな違いは、新興国資産の配分が異なるところです。リスク重視で資産配分を決めるのであれば前者、リターン重視で資産配分を決めるのであれば、後者を参考にするとよいでしょう。

投資信託の安全運用型の資産配分

人は誰でも投資で損失を出したくないという考えを持っています。そのため、リスクを最小限に抑えた運用方法に興味を持っている人も少なくありません。このような人は、安全運用型の資産配分にして投資信託を運用していくのが効果的です。

安全運用型の資産配分は、株式よりも債券の割合を多くした配分になります。具体的には、株式の割合が20%から30%程度であるのに対し、債券の割合は70%から80%程度です。債券の資産配分の中では、できるだけ日本債券の割合を多くします。外国債券は、為替リスクや手数料の面で日本債券よりもリスクが高くなってしまうからです。株式30%、債券70%の安全運用型の資産配分をした人の中では、債券70%のうち、60%は日本債券にする人もいます。

安全運用型の資産配分で投資信託を運用する際、コアとなる日本債券はどのファンドに投資すればよいのか気になるところです。まず考えられるのが日本債券のインデックスファンドではないでしょうか。ですが、投資信託よりも個人向け国債の変動10年を選択したほうがよいでしょう。投資信託の場合は、少ないながらも元本割れの危険性があります。一方、個人向け国債の変動10年は、1年未満に中途換金しないかぎり、元本が保証されるのでより安定的に運用することが可能です。日本の経済情勢によって半年ごとに適用金利が決定されますが、最低でも0.05%以下にならないことも魅力な点だと言えるでしょう。

自分の年齢に応じて資産配分を見直すことが大事

一度資産配分を決定したら、そのままの状態で投資信託を運用し続ければよいというわけではありません。自分の年齢に応じて、資産配分を定期的に見直すことが大事になります。

投資信託の運用を始めたのが20代や30代であれば、積極運用型の資産配分をして、株式の割合を債券の割合よりも多くして運用したほうが効果的だと言えるでしょう。老後を迎えるまで30年前後の時間があるので、一時に大きな損失が出ても取り戻すことができるからです。一方、40代から50代になってくると老後までの時間が限られてきます。そのため、大きな損失を出してしまったときのリスクも高くなるので、バランス型または安全運用型へ資産配分の切り替えを行う必要があります。

資産配分の見直しをする場合、その具体的な割合の決定をどのような基準で行えばよいのでしょうか。一つの基準として、「100から自分の年齢を差し引いた数を株式の保有割合にする」というものがあります。たとえば、30歳の人の場合は、株式の保有割合が70%で、40歳の人は60%になります。この基準で計算すると、50歳を迎えた場合、株式50%、債券50%のバランス型の資産配分にするのが好ましいと言えるでしょう。