投資信託の運用で効率的にお金を増やすには

イデコやつみたてNISAなどの制度が創設され、年々投資信託を運用しやすい環境になってきました。その影響からか、投資信託を運用して効率的にお金を増やしたいと思っている人も増えてきています。投資信託を運用して効率的にお金を増やすには、事前準備を行い、投資信託の運用効果を理解しながら、自分にとって適切な方法で運用することが大切です。

投資信託の運用前に行いたい家計の分析

これから投資信託を運用しようとしている人の中には、どの資産を対象にどのような方法で投資するのかを考えている人が多いでしょう。しかし、具体的な投資信託の運用方法を考える前にやっておきたいことがあります。それは、毎月の家計を分析することです。

自分の毎月の給料よりも月々の生活費のほうが多い場合、いくら投資信託の運用を行って収益を得られたとしても、家計の赤字によりその収益は相殺されてしまいます。そのため、投資信託の運用によって効率的にお金を増やすことができません。逆に家計が黒字の状態であれば、支出のマイナスは生じないので、投資信託を運用して収益が出れば、その分お金も増えていくことになります。したがって、投資信託を運用する前に家計の分析を行い、もし赤字の状態になっていた場合は、生活の見直しをして黒字の状態にしておかなければなりません。

家計の分析は、具体的にどのような方法で行えばよいのでしょうか。家計簿をつけて毎月の支出を細かくチェックする必要はありません。自分の毎月の給料だけで生活費が足りているか否かを判断することでよいでしょう。そのような方法で家計の収支の確認を行った結果、毎月5万円程度余るのであれば、問題なく投資信託の運用を行うことが可能です。

また、生活のための余裕資金があるとなおよいです。投資信託を運用していく中で、一時的に相場が暴落して大きな含み損を抱えてしまうケースもあります。また、職場をリストラされて収入源を失ってしまう可能性もないとは言えません。そのような状況が重なっても、生活のための余裕資金があれば、ある程度平常心を保つことができます。それにより、長い期間投資信託の運用を続けることができ、結果的に運用利益を手にすることができるのです。

投資信託を運用する際に損失が出たときのことを考える

運用方法の選択の他に事前準備もカギになる投資信託は、一般的にお金を増やす目的で運用します。そのため、投資信託を運用しようとする際、得られる利益のことばかりで頭がいっぱいの人も多いのではないでしょうか。しかし、投資信託を運用する場合、損失が発生した場合について考えておくことが大切です。

投資信託は元本保証の金融商品ではないので、運用をする上で損失を受け入れなければならないケースも出てきます。ですが、あまりにもその額が大きいとそれに耐えられなくなり、運用をやめてしまいたいと思ってしまう場合も少なくありません。そのようなことから、投資信託を運用する際、どのくらいの損失額までを許容できるのかを知っておく必要があるのです。

自分が許容できる損失額を知るための基準はどのようなものがあるのでしょうか。まずは、投資信託を運用する人の年間の貯蓄可能額を基準にする方法です。たとえば、年間で40万円貯蓄できるとしましょう。この場合、投資信託の運用で40万円の損失が出たとしても、1年で取り戻すことができます。そのため、このくらいまでであれば損失を出しても問題ないと考えるのです。

運用している投資信託の過去の値動きから算出される最大損失額を基準にする考え方もあります。ファンドの種類によってその額は違いますが、低リスクで安定的な運用が可能なインデックスファンドの場合は30%から40%程度です。したがって、投資信託を運用する際、この基準をリスク許容度とする人も少なくありません。

投資信託が高い運用効果をあげられる理由とは

投資信託の運用をしようとする場合、それによって得られる効果について理解しておくことも重要です。投資信託を運用すると預貯金よりも高い収益をあげられる場合が少なくありません。なぜ、投資信託は預貯金よりも高い運用効果があるのでしょうか。それは、複利効果と分散効果があるからです。

投資信託の運用は、発生した利益や分配金を元金に組み入れて行う複利運用の方法で行うことができます。たとえば、10万円の投資信託を購入して1年間運用したら、20%の利益が出て2万円増えたとしましょう。この場合、2万円の利益は元金に組み入れられ、翌年は12万円の元金に対して利益や分配金が発生していくのです。もし、前年度と同じように20%の利益が出た場合、今度は2万4,000円増えることになります。これを何年も繰り返していくと、加速度的にお金が増えていくのです。投資信託を運用する場合、相場が悪ければ損失が出てしまうので、必ずしもこのようにうまくお金が増えるわけではありません。ですが、投資信託の積立投資を始めてから20年程度経過したとき、明らかな複利効果を実感することができるでしょう。

また、投資信託は分散効果によって、高い利益を得ながら、リスクを抑えた運用をすることが可能です。国内外の株式、債券はそれぞれ値動きの仕方が違います。たとえば、株式が低調の場合は債券が上昇し、株式が好調の場合は債券が下落する傾向にあります。そのため、株式と債券が含まれた投資信託で運用すると、資産の下落がある軽減されて、その分リスクが抑えられるのです。

現役世代の人は積立の方法で投資信託を運用しよう

少子高齢化の影響で年金の財源が厳しい状況になっています。そのため、老後のことを考えて、自分年金を作るために投資信託で資産運用を考えている現役世代の人も少なくありません。

30代から40代の現役世代の場合、会社を定年退職するまで20年から30年の期間があります。そのため、積立投資の方法で長期間投資信託を運用していくのがよいでしょう。毎月一定額の投資信託を購入し続けることで、取得単価が平均化されていきます。それにより、リスクを抑えた運用をすることが可能です。国内外の株式と債券を25%ずつ10年間積立投資した場合、1989年から2015年の期間内では90%の確率で利益が出ているというデータがあります。また、これが20年間になると、どのような状況でも利益が発生しています。以上ことから、投資信託の積立投資は、他の方法に比べて負けにくいという特徴があるのです。

また、手間をかけることなく投資信託を運用できるのも積立投資のメリットです。ネット証券では、自動積立サービスを利用できます。自動積立サービスとは、積立てする投資信託、積立額、積立設定日などを入力しておけば、自動的に買付を行ってくれるサービスです。このサービスを利用すれば、毎月自分で投資信託の購入手続きを行う必要がなくなります。それにより、仕事の忙しい社会人でも無理なく投資信託の運用を行えるのです。

リタイアした人も投資信託で運用したほうがよいのか

社会人が定年退職した場合、会社から退職金をもらえるのが一般的です。リタイアすると、銀行や証券会社などの金融機関から、投資信託の運用を勧められるケースも少なくありません。そのため、定年退職をした後でも、投資信託を購入して資産運用をしたほうがよいのか気になるところです。

リタイアした人の場合、自分が保有している資産額を把握したうえで、投資信託を購入するか否かを決めましょう。すでに老後生活を送るための十分なお金があるのであれば、無理にお金を増やそうとする必要はありません。そのため、元本保証の金融商品ではない投資信託を購入しないという選択肢も考えられます。今後の自分の生活設計を考え、それを実現するためには資産運用が必要であるという場合に、はじめて投資信託の購入を検討するのがよいでしょう。

リタイアした人が投資信託を購入するのであれば、リスクの低い債券の割合が多いファンドを選択することが大切です。リタイアした人は、現役世代の人と違い、投資信託の運用期間が限られています。そのため、一度大きな損失を出してしまうと、それを取り戻すのが難しくなる場合があるからです。間違っても、怪しい儲け話にのって、ハイリスクな投資信託を購入してはいけません。