ニューヨーク市場の急落に端を発した東京市場の株価大暴落では、肝を冷やした投資家も多いでしょう。株価が高い銘柄ほど下落幅も大きく、相場が反転した場合のリスクを改めて認識させる結果となりました。半面、低位株は株価の低さから下落幅としてはそれほど大きな被害は受けませんでした。株式市場が再び上昇気流に乗るまでは、まだ何回か反落するリスクがありそうです。そこで今回は単元株が100株、1万円以内で投資可能な超低位株の特集をお届けします。
もともと安い超低位株は大暴落でも被害は少ない
日経平均は2018年1月17日に昨年来高値24,071円を付けた後反落相場に入り、大暴落をはさんで2月8日に直近の安値21,186円まで下落しました(終値ベース)。この間の下落率は約12%です。この12%という数字は、株価によって影響にかなりの差が出ます。
例えば、株価が12%下落する場合、1,000円の銘柄なら120円安で100株の投資でも1万2,000円の損失となりますが、50円の銘柄はわずか600円分下げるだけなので被害は極めて軽微で済みます。大雑把にいって、市場が上昇している時は高い株が、反対に下落している時は安い株が有利と考えることができます。
次に超低位株投資のメリット・デメリットを確認しておきましょう。
超低位株投資のメリット
メリットは何といっても投資額の少なさです。下記リストにあげた11銘柄を単元の100株で購入する場合、もっとも安いNEW ARTなら2,800円、一番高い不二サッシでも9,600円の投資で済みます。したがって、投資初心者の方が株の値動きを実戦で学ぶにはもってこいといえます。単元株なら株主総会にも出席できますので、総会を体験してみたい方にもおすすめです。
もう一つのメリットは、少額で株主優待を受けられること。NEW ARTの優待例でいうと、ジュエリーを20%引きで購入できるので、2万円の商品を購入すれば4,000円の割引となり、わずか1回の利用で投資額を回収できてしまいます。
超低位株投資のデメリット
一方、デメリットの筆頭は成長性が低いことです。赤字かあるいは1株利益が1ケタの銘柄がほとんどです。株価は将来の業績向上を見込んで買われるものなので、成長性がなければ万年低位株の状態になるのはやむをえません。
また、頻繁に増資を行ない発行株数が過剰な銘柄もあります。いずれにしても、安い株価にはそれなりの理由があるので、あまり多くの株数は購入しない方が無難です。
配当・優待のある超低位株11選
※株価は2018年2月16日現在、株主優待は最低獲得株数分のみ掲載
それでは、100株単元、株価100円以下で配当または株主優待がある銘柄の中から11銘柄をご紹介します。
●NEW ART
・株価 28円
・予想PER 11.67倍
・予想配当 0.3円
・予想配当利回り 1.07%
・株主優待=1株以上で、ジュエリーショップ、ゴルフ用品ショップ、結婚式場の割引、エステサロン契約時にジュエリー贈呈。
ジュエリーの「銀座ダイヤモンドシライシ」で知られますが、最近ではエステサロン「ラ・パルレ」の経営も順調に推移しています。2018年3月期に30銭の復配を予定。株主優待は全株主対象なので、端株優待銘柄としても有名です。
●音通
・株価 37円
・予想PER 46.25倍
・予想配当 0.24円
・予想配当利回り 0.65%
・株主優待=5,000株以上で3,000円相当の商品を贈呈。
100円ショップ「フレッツ」を運営。1株利益は少ないものの、毎年黒字は確保しています。100円ショップが主力だけに、そう大きな業績のブレはないでしょう。
●ADワークス
・株価 42円
・予想PER 23.33倍
・予想配当 1.65~2.2円
・予想配当利回り 3.93%
・株主優待=1万株以上で、株主専用ウェブサイトに掲載の地方名産品、ワイン、宿泊、ゴルフ用品等と交換できるポイント2,000円相当付与。
富裕層を対象にした不動産事業を手掛けます。ライツオファリングに対する株主還元として今期感謝配当を実施予定。かなりの高利回りとなるので利回り採算が取れる銘柄です。ただ、株主優待の獲得株数が1万株以上と、ハードルが高いのが難点。
●キムラタン
・株価 44円
・予想PER ―
・予想配当 0円
・予想配当利回り ―
・株主優待=200株以上で、2,000円分の店舗買い物券(5,000円以上の買い物で利用可)、3,000円分のネット通販クーポンキー(7,000円以上の注文で利用可)を贈呈。
ベビー服製造卸売り企業で、ネット通販や中国への卸売りも展開。継続前提に疑義注記。投資額8,800円で5,000円分の優待がもらえるので、乳幼児がおられるご家庭にはお得な銘柄といえます。
●ジオネクスト
・株価 48円
・予想PER 480倍
・予想配当 0円
・予想配当利回り ―
・株主優待=2,000株以上で、1,000円相当のQUOカード贈呈。
IT関連、ビルメンテナンスのほか、太陽光発電事業にも進出しています。無配ですが、超低位株には珍しくQUOカードの株主優待を実施しています。
●ビジョナリーホールディングス
・株価 67円
・予想PER 55.83倍
・予想配当 0円
・予想配当利回り ―
・株主優待=100株以上で、5,000円以上の買い物で30%割引になる優待券1枚、3万円以上の買い物で2枚同時利用可のメガネレンズ仕立券1万円分2枚を贈呈。
旧メガネスーパー。一時期、債務超過で上場廃止の危機にありましたが、上場を維持して以降業績は回復傾向にあります。株主優待の額が大きいので、メガネを購入する予定がある方にとってはかなりお得な銘柄といってよいでしょう。
●小僧寿し
・株価 77円
・予想PER ―
・予想配当 0円
・予想配当利回り ―
・株主優待=500株以上で、500円ごとに利用可能な100円の割引券を100枚、おせち料理20%割引券を1枚贈呈。
持ち帰り寿司の古参で、アスラポートダイニング傘下。継続前提に疑義注記。業績は赤字続きで冴えませんが、優待券は5万円の買い物なら1万円引きになるので、同チェーン店のヘビーユーザーなら利用価値はあります。ただし、業績には要注意です。
●アジアゲートホールディングス
・株価 79円
・予想PER 65.83倍
・予想配当 0円
・予想配当利回り ―
・株主優待=100株以上で、ゴルフ場・ホテルの優待割引。
建設・土木企業ですが、ゴルフ・リゾート事業も手掛けています。運よく利用できるゴルフ場が近くにあるならば、高い還元率になる可能性があります。
●ジー・テイスト
・株価 83円
・予想PER 830倍
・予想配当 0.5円
・予想配当利回り 0.6%
・株主優待=100株以上で、15%割引券を2枚贈呈。
「焼肉屋さかい」「村さ来」「平禄寿司」等で知られる飲食チェーン。学習塾も併営しています。業績は低位で安定しており、下値不安も少ないことから、チェーンの店をよく利用する方には持っていて損のない銘柄です。
●東理ホールディングス
・株価 83円
・予想PER 25.15倍
・予想配当 2円
・予想配当利回り 2.41%
・株主優待=なし
食品流通と教育事業が主力。超低位株の中では2円配で利回りは高い方です。
●不二サッシ
・株価 96円
・予想PER 11.03倍
・予想配当 1円
・予想配当利回り 1.04%
・株主優待=なし
文化シャッター傘下で、ビル向けアルミサッシ国内4位のメーカー。業績は黒字が定着しており、2019年3月期は増配の可能性もあります。株価は現在96円で、超低位株脱出に一番近い銘柄となっています。
※上記記事は当該銘柄への投資をすすめるものではありません。参考程度にお考え下さい。
投資する際のチェックポイント
少ない金額で投資できることは超低位株の魅力ですが、注意しなくてはいけないのは業績や財務内容を確認することです。特に重要なチェックポイントは以下の通りです。
・債務超過の状態にある。2年続くと上場廃止になるもっとも重要な危険信号です。
・「継続前提に疑義注記」がある。証券取引所が注意を呼び掛けているようなものです。
・営業キャッシュフローがマイナスになっている。何年も続くと倒産に至ります。
・売り上げが減り続けている。顧客離れが進んでいる可能性があります。
・自己資本比率が10%を割っている。大部分を借金で賄っていることを意味します(金融株は除く)。
・利益剰余金がマイナスになっている。配当は見込めないでしょう。
以上、超低位株投資にはリスクもありますが、ちょっと家族で外食すれば1万円程度は掛かるものです。それを考えれば、同程度以下の金額で株式投資を始められるのは、安いものかもしれません。リスクが気になってまだ株式投資に踏み切れない方は、超低位株を投資を始めるきっかけにしてみるのもよいのではないでしょうか。