2018年1月から新たにつみたてNISAが始まります。つみたてNISAとは、今までのNISAと違い非課税期間が20年間と長期投資向けの制度になっていて、商品も積立向けの商品しか利用できません。金融庁は2023年に一般NISAを廃止して、つみたてNISAに一本化することにしました。それまではNISAは、一般NISAとつみたてNISAをどちらかを自由に選択できます。つみたてNISAを始めるには、NISA専用の口座を開設する必要があり、NISA口座内でつみたてNISAを選択する必要があります。しかしつみたてNISAには制度上の問題点があるため、口座開設の金融機関をきちんと選ぶ必要があります。この選択を間違えるとつみたてNISAのメリットを得られなくなる場合があります。制度上の問題点は、二つあってそれらが交差すると化学反応が起こるような感じで、つみたてNISAのメリットを失わせます。それぞれの問題点とどのようにメリットを失わせ、なぜつみたてNISAは銀行で始めていけないかをこれから書いていきます。

つみたてNISAの信託報酬が低すぎるという問題

つみたてNISAは、金融庁長官の身勝手な思い込みで信託報酬を低く抑えた投資信託しか利用できないようになっています。利用できる投資信託は、販売手数料は無料で信託報酬は1.5%以下で、インデックスファンドの場合は0.5%以下となっています。分配金を多く出す投資信託も対象外となっていて、毎月分配型は対象外です。問題点の一つの信託報酬ですが、1.5%とは言え販売会社の取り分はそれより少ないです。信託報酬が低いとどう問題かというと、低すぎると儲からないからと販売会社がつみたてNISAから手を引く恐れがあります。金融機関は儲かるから投資信託を販売しているのであって、儲からないと分かれば販売を止めてしまいます。採算が取れる取れないは、扱っている投資信託の売れ行き次第ですから、売れなければつみたてNISAだけでなく投資信託の販売そのものを止めてしまいます。

口座変更後は新規の買い付けしかできない

つみたてNISAは一般NISAと同じく金融機関の変更は可能です。それで本来なら一人1口座なのですが、金融機関変更後は前の金融機関のNISA口座と変更後の金融機関のNISA口座と口座を二つ以上持つことが可能になります。しかし変更後の口座に変更前の分の移管はできなくて、変更前の口座を廃止する時は口座内の残高を一般口座か特定口座の方に移すことになります。移せば非課税枠から外れるので、当然利確時は課税されます。NISA期間中に得た利益は非課税です。ただ別に廃止をする必要は無く、そのままNISA口座として持てますから、この点は問題視されていません。しかし金融機関の都合で強制的に廃止になる可能性が出てきました。これが化学反応と例えたことです。廃止になることは想定外で、誰も考えなかったけど、それが現実的になってきました。

銀行はつみたてNISAをやりたくない

つみたてNISAは銀行で始めてはいけない理由金融庁のつみたてNISAの普及に力を入れているのは異例なことです。厚生労働省の確定拠出年金の普及の力の入れ方と比較すればわかるように、厚生労働省はいつも通りで金融庁は各金融機関に圧力をかけて無理やりつみたてNISAを普及しようとしています。金融機関側も確定拠出年金は自ずと積極的に宣伝していますが、つみたてNISAに関しては金融庁が動かないと消極的で、つみたてNISAを取り扱うことさえしませんでした。その理由ですが、確定拠出年金は運営管理手数料として金融機関には少ないけど手数料が入ります。しかしつみたてNISAは信託報酬だけで、それ以外の手数料は全く無いです。信託報酬だけなので確定拠出年金はやりたくてもつみたてNISAはやりたくないといったところです。やりたくないわけだからやめることだってあるわけで、投資信託の販売自体止める場合もあります。実際に止めるかもしれないほど、銀行の経営状態が悪くなってきています。

金融庁の指導で銀行の収益が悪化

平成9年から銀行の窓口で投資信託の販売が認可されてから、銀行は投資信託の販売で収益を得ることに力を入れてきました。しかし投資信託の販売の決断は上の方が甘い考えで決めただけで、現場は収益を得ることの大変さに直面して、顧客に販売手数料目当ての投資信託の回転売買を行うようにして、販売のノルマを達成しようとしました。この回転売買が金融庁に悪質と判断されてしまい、回転売買を止めさせられるだけでなく手数料にも規制が入るようになりました。この投資信託で稼げなくなった状態の時に、金融庁に残高次第では赤字になるつみたてNISAを押し付けられて、一部の銀行は投資信託の販売を続けるか迷う状態です。その上収益の柱であるカードローンにまで金融庁の規制が入りそうで、銀行の収益がかなり悪化しそうな感じです。銀行によっては投資信託の販売が赤字になっているところもあり、販売を止める可能性が大きくなってきました。

つみたてNISAはネット証券で始めるべき

つみたてNISAの対象商品のインデックスファンドの信託報酬ですが、約0.2%とかなり低く販売会社の取り分になると約0.1%ぐらいです。0.1%だと1千万円稼ぐのに100億円もインデックスファンドを販売しなければ駄目で、地方の1支店でだと常識的に不可能です。1%でも10億円とアクティブファンドだとしてもつみたてNISA以外でも難しい状態です。都市銀行なら大口に買わせることは可能と思えがちですが、例えどんな金持ちでもつみたてNISAは、一人当たり1年間に40万円まで投資できません。それゆえ人数が必要で4千万円で100人、4億円なら千人必要になってきます。つみたてNISAの知名度や人気を考えても1千万円を稼ぐのですら難しいです。大手の都市銀行ならつみたてNISAでも儲からなくても、投資信託全体で利益を出せるから、つみたてNISAの収益力は問題なさそうですが、地方銀行は投資信託全体が厳しい状態だから、つみたてNISA自体が取り扱おうとしないのが現状です。

銀行が投資信託の販売で採算が厳しい問題として人件費があります。投資信託の販売にあたって各店舗に証券外務員などの資格持ちを配置する必要があり、システムの費用と合わせて、投信販売はコスト的に厳しい店舗がいろいろあります。銀行員の高い給料を払うのにどれだけ投資信託を売ればよいか?コスト的に割が合わないと販促費用を削り出した銀行もあります。コスト的に店頭での販売は無理だと、大手都市銀行もつみたてNISAはネットでしか扱わないようになる可能性が高いです。利用が同じネットでしたら銀行よりもネット証券を利用すべきです。ネット証券の方がつみたてNISA以外のサービスが銀行よりも優れていますから、ネットでやるならネット証券を利用しましょう。ネット証券も大手を選ぶべきと大手しかつみたてNISAは対応していませんから、いやでも大手のネット証券での利用になります。

銀行が投資信託の販売を止める可能性を今まで書いてきましたが、止めない可能性もあります。人件費の問題を説明しましたが、相談業務をロボットアドバイザーに置き換えれば、人件費が削減できて投信販売の採算が取れやすくなります。販売もATMのような機械から注文させるようにして、販売でも人件費を削減すればコスト面の問題は改善しますから、もう銀行は投資信託の販売を止める必要は無く、当然つみたてNISAも止めずに続けていけます。ただそれだけの設備投資をどの銀行も行えるわけでは無いので、結局は大手都市銀行ぐらいで地方銀行ではつみたてNISAを始めない方が良いことには変わりないでしょう。