今回は前回の続きで、2012年末からのアベノミクス以前とそれ以降では、何がどのように変わったかについてお話したいと思います。

その前に今年のFX(ドル円)の動きを説明しておきます。

ドル円 週足

ドル円 週足

2017年ドル円の総括

去年のトランプ大統領が誕生したいわゆるトランプ相場では急速に円安が進みましたが、今年の初めの119円付近が円安のピークでそこからトランプ発言などもあって円高が進みました。一時は110円を割り込む水準まで行きましたが、そこでどうやら底をつけたらしく108円~115円のボックスに移行しました。その後何度となく115円の円安の壁にトライしましたがその度ごとに弾き返され、現在は4度目の挑戦をしようとしているところです。

12/22の時点で113.29付近なので現在は円安寄りの位置にあるといえるでしょう。先日のFOMCでは材料織り込み済みということで円安方向には動きませんでしたが、この年末はしっかりとした動きで113円付近をキープしているようです。以前は115円の壁にぶつかった後では急速に円高が進み110円割れまで一直線に動いていたのが、その流れが変わったのがチャートで見て取れると思います。ここから来年にかけて果たして115円のラインに再チャレンジしてついに抜き去るのかが注目されるところでしょう。

ここまで振り返るとトランプ相場は株式市場に関しては「日米同時上昇」、ドル円に関しては「円高気味のボックス」という傾向がはっきりと出た一年間でした。このトレンドは基本的には来年も変わらないでしょう。ただ為替の方は今より「円安気味のボックス」という流れに変わってくるかもしれません。ドル円の方はどちらか一方的に動けば有利になるというものではないので、むしろあまり動かずに安定していた方が経済成長にとっては有利という側面があります。

2017年の今年は108円―115円のボックスでしたが、来年は115円を超えて少しずつ円安が進む可能性もあります。しかしその場合も本当にゆっくりとした動きで、株式市場の華々しさには程遠い動きになるでしょう。来年も為替トレードはデイトレードを中心とした細かい動きが必要されると思います。

従来の政策とアベノミクスの違い

さて、ここから現在の株や為替の流れを作り出しているアベノミクスを振り返ってみたいと思います。あまりにも有名になりすぎた言葉で安倍政権の中心的な経済政策ですが、基本的にメインは金融政策にあります。前回説明した今までの長期的な経済政策ですが、

従来の自民党政権(公共事業)
小泉政権(市場原理・自由放任)
民主党政権(家庭や個人への富の再配分)
安倍政権(アベノミクス=金融政策)

という流れになっています。

日本経済に成長力があってまだ赤字国債も少なかった時期は、不況になれば公共事業をやって景気を浮揚させればよかったのですが、財政の面で厳しくなり、小泉政権の時は規制緩和を行う代わりに市場の流れにまかせる方針が取られました。

しかしリーマンショックがやってくると経済が立ち行かなくなってきたので政権交代が起こり、民主党時代には「子ども手当」の支給など家庭や個人に還元する方法がとられました。ただこの方法は大きな波及効果を生み出すかは疑問で、そればかりでなく政策自体も途中で打ち切られたり中途半端な形に終わったので、もう一度政権交代が起こり安倍政権の再登場となりました。

アベノミクスが掲げている経済目標をもう一度おさらいします。

1 物価2%上昇(インフレターゲット) ⇒未達成
2 株価上昇 ⇒2万円台達成
3 円安誘導 ⇒80円から一時120円台達成

このようにインフレターゲットは未だに達成できていないものの、その他の目標はクリアーして、しかも株価に関しては一時23000円台とバブル崩壊以降の高値を記録しました。

このようなアベノミクスの成果について一部には懐疑的な見方があるのも確かです。それというのも肝心のGDP成長率が1%台の半ばにとどまっているためで、これは一昔前の基準からすれば不況のレベルでしょう。しかしこれはアベノミクスの責任というよりも日本の経済社会自体が低成長の時代に移り変わってきたということで、ほかのどの政策を持ってきても劇的に改善するようなものではありません。むしろ求人倍率1.5倍以上という、かつて就職氷河期には0.5倍付近だったことを考えれば明らかに状況は良くなっています。実体経済全体の成長率が低いので好景気の実感は伴っていませんが、方向性としては間違ってないと思われます。

重要なことはほかのどの政策を持ってくればさらに良くなるかということなので、現状ではアベノミクスにも一部批判的な声があるにもかかわらず、今の政策を持続させることが最善の選択のようにも見えます。

アベノミクスはQE(米金融緩和)の日本版

結論からいえばアベノミクスは必ず行われなければならなかった政策だといえます。それは本質的にQE1~QE3と続いて成功したアメリカの金融政策の再現だからです。アベノミクスという名前がついていますが、安倍首相や日銀の黒田総裁が「日銀が国債を買い上げて株を上げる」とリーマンショックの直後くらいにいきなり宣言していたらどうでしょうか。

もし日本単独で過去に前例のないことを行おうとしたら、財務官僚はそろって反対したでしょう。いわゆる「買いオペレーション」という手法自体は昔からありましたが、今回のようにこれほど大規模な形でしかも景気対策の中心に金融政策を据えて国債買い上げをするのは初の試みでした。もし単独の発想で今回のような異次元の金融緩和を行おうとすれば「日銀がパンクする」と批判されて終わりだったでしょう。

しかしリーマンショック後の不況から脱出するために行ったアメリカの大規模なQE(金融政策)がアベノミクスを実現可能にしました。

アメリカのQE(量的緩和)の歴史

アメリカのQE(量的緩和)QE1
(2008年11月~2010年6月)1兆7250億ドル
QE2
(2010年11月~2011年6月)6000億ドル
QE3
(2012年9月~2013年12月)1兆3600億ドル
2014年10月QE3完全終了

これをみればリーマンショック直後の2008年11月に、最初の金融緩和(QE1)は始まっています。内容は米国債と不動産証券の買い入れですが、(1ドル110円レートで)200兆円近い大規模な額です。これによりリーマンショックの直接の痛手から復活して、米国株は上昇しました。次はQE2でこれはギリシャの金融危機に対処する形で2010年10月に始まりました。これは翌年まで日本円でおよそ70兆円の規模でした。

アメリカのQE(量的緩和)

さて、QE2までの時点でもアメリカの株式市場と米国経済の立ち直りはかなり明確だったので、このQE政策を真似て日本でも同じような金融政策を行おうとする声が上がってもよかったかもしれません。しかし当時の民主党政権下では、アメリカと同じような金融政策を行って日銀が国債を買い入れ株価を上昇させようという政策が省みられることはありませんでした。

その結果、NYダウは劇的に上昇しましたが日経平均は一万円前後をいったりきたりという状態を続ける中で、日米間の格差が広がっていきました。特に大きかったのが株式市場とドル円の為替相場の乖離です。

というところで後編に続きます。

まとめ

★来年も株式市場は上昇、ドル円為替は円安気味のボックス圏。
★アベノミクスの結果株高・円安が進む。物価上昇率2%は未達成。
★アベノミクスは米国のQE(量的緩和政策)の日本版。本格的に導入したのが安倍政権で一応の成功を収める。

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