フォーメーション分析で未来を読む

チャートに現れる様々な人間心理

チャートには、相場の状況により様々な形が出現します。例えば、トレードに参加している人達の多くがイケイケドンドンという気持ちであれば、急峻なトレンドラインが現れます。トレードに参加している人達が相場展開の様子うかがっていたり、この先価格が上昇すると思っている人と、下降すると思っている人が拮抗していたりすると、一定の小さな値幅で価格が上下する、持ち合いの状態を示します。チャートに現れる形は、取引をしている人の心理が映されるのです。

このチャート上に現れる形に着目して、相場の先行きを予測するのがフォーメーション分析です。人の心理は個々人により様々ですが、集団として統計的に考えるとパターン化されます。心理学が統計的学問と言われるゆえんですね。従って、過去にこのような心理状態だったときにはこのようなチャートパターンが現れ,その後の心理状態はこのように変化するから相場はこのように動くというように、ある程度の予測が成り立つわけです。

フォーメーション分析では、相場の方向性はもちろんのこと、到達する価格まで予測できるものもあります。フォーメーション分析は、チャートが作っている形を見るだけですから、いくつかのパターンを覚えるだけで簡単に利用できるというのも大きな利点です。フォーメーション分析も他のテクニカル分析手法と同様にダマシがあり、注意が必要ですが、テクニカル分析の1つの手法として有効に活用することができます。ぜひ身につけていただきたいテクニカル分析手法の1つです。

フォーメーション分析には、トレンドが継続するコンティニューフォーメンションとトレンドが反転するリバーサルフォーメーションがあります。今回は、相場のトレンドが継続するコンティニューフォーメーションを取り上げます。

各種コンティニューフォーメーション

(1)ボックス

ボックスとは、ある一定の値幅内で価格が上下を繰り返す持ち合いの形状です。ボックスは、トレンドに従って上昇や下降をしてきた価格が、ある一定の値幅で上下するようになったものです。価格のトップ同士を結んだ補助線(レジスタンスライン)と、価格のボトム同士を結んだ補助線(サポートライン)が水平になり、価格がその範囲を上にも下にも抜けなくなります。サポートとレジスタンスが平行線になり、価格の動きがまるで箱の中に閉じ込められたようになります。この形をボックスと言います。上昇トレンドからボックスが現れた場合は、やがてこのボックスを抜けて上昇トレンドが再開継続し、下降トレンドからボックスが現れた場合は、やがてこのボックスを抜けて下降トレンドが再開継続します。

(2)フラッグ

フラッグとは旗のことです。旗には竿があり、竿の先には布などでできた平行四辺形(長方形)の旗の本体がありますね。この竿と旗の本体を総称してフラッグと呼びます。竿の部分は、今まで続いてきたトレンドを1本の線とみなします。旗の本体は価格のトップ同士を結んだ補助線(レジスタンスライン)と価格のボトム同士を結んだ補助線(サポートライン)が右上がりか右下がりの平行四辺形になります。この平行線の中で価格が上下を繰り返すのです。

フラッグには、上昇フラッグと下降フラッグの2種類があります。ここで注意が必要なのは、その呼び方です。“上昇”“下降”の呼び方は、今後トレンドが進む方向を示していて、旗本体の向きではありません。すなわち、上昇フラッグの旗本体は価格が低い方向に向かっています。逆に、下降フラッグの旗本体は、価格が高い方法に向かっています。

上昇フラッグは、上昇トレンドのときに、価格が徐々に低下する右下がりの平行四辺形(旗本体)が出現し、やがて価格のトップ同士を結んだ補助線(レジスタンスライン)を抜けて上昇トレンドを再開します。下降フラッグは、下降トレンドのときに、価格が徐々に上昇する右上がりの平行四辺形(旗本体)が出現し、やがて価格のボトム同士を結んだ補助線(サポートライン)を抜けて下降トレンドを再開します。旗本体の部分の値幅が、竿の部分の値幅のおおよそ1/3以下のときにフラッグと呼び、この現象が現れます。

チャートは人間心理を反映してパターンを形成する(3)ペナント(トライアングル)

ペナントとは、二等辺三角形をした旗のことです。若い人には馴染みが無いかもしれませんが、昔、観光地などで売っていた定番のお土産グッズだった、あの形です。相場で出現するペナントは必ずしも綺麗な二等辺三角形とは限りませんが、価格のトップ同士を結んだ補助線(レジスタンスライン)と、ボトム同士を結んだ補助線(サポートライン)が互いに交差する方向に進み、時間とともに価格の上下幅が収縮して三角形を形成している状態です。三角持ち合いとも言います。

この形成された三角形の頂点(交点)に達するまでに、上昇トレンドから形成されたペナントはレジスタンスラインを上抜けて上昇トレンドを継続し、下降トレンドから形成されたペナントはサポートラインを下抜けて下降トレンドを継続します。多くの場合、ペナントの4/5ぐらいの位置まででペナントから抜け出してトレンドを再開します。

(4)拡張型三角形(逆三角形)

拡張型三角形は、ペナントとは逆に、価格のトップ同士を結んだ補助線(レジスタンスライン)と、ボトム同士を結んだ補助線(サポートライン)が互いに離れる方向に進み、時間とともに価格の上下幅が拡大して拡張型の三角形を形成している状態です。上昇トレンドから拡張型三角形を形成した場合は上昇トレンドを継続し、下降トレンドから拡張型三角形を形成した場合には下降トレンドを継続します。

(5)アセンディングトライアングル(上昇三角形)

アセンディングトライアングルは、上昇トレンドの時に現れる三角形の持ち合いです。価格が上昇してきて、ある同じ価格(レジスタンス)を抜けられずに何度も止められ跳ね返されるのですが、跳ね返されて下降する値幅が徐々に小さくなってきて、やがて止められていた価格(レジスタンス)を突破して上昇トレンドを再開します。止められている価格の補助線(レジスタンスライン)は水平線になり、価格のボトムを結んだ補助線(サポートライン)は右上がりになり、値幅が徐々に収縮していき、三角形を形成します。

(6)ディセンディングトライアングル(下降三角形)

ディセンディングトライアングルは、下降トレンドの時に現れる三角形の持ち合いです。価格が下降してきて、ある同じ価格(サポート)を抜けられずに何度も止められ跳ね返されるのですが、跳ね返されて上昇する値幅が徐々に小さくなってきて、やがて止められていた価格(サポート)を突破して下降トレンドを再開します。止められている価格の補助線(サポートライン)は水平になり、価格のトップを結んだ補助線(レジスタンスライン)は右下がりになり、値幅が徐々に収縮していき、三角形を形成します。

(7)変則逆三角形

変則逆三角形とは、ある価格をトレンド方向に一旦抜けて、その後価格が押し戻されるのですが、一旦抜けたある価格がサポートやレジスタンスになって価格を止め、価格が抜けた方向に徐々に拡大していき三角形を描きます。上昇トレンドでは、一旦抜けて何度も下降を押し戻している価格の補助線(サポートライン)は水平になり、抜けた価格のトップ同士を結んだ補助線(レジスタンスライン)は上昇していって、サポートラインとレジスタンスラインで三角形を描きます。

一方、下降トレンドでは、一旦抜けて何度も上昇を押し戻している価格の補助線(レジスタンスライン)は水平になり、抜けた価格のボトム同士を結んだ補助線(サポートライン)は下降していって、レジスタンスラインとサポートラインで三角形を描きます。いずれの場合も、価格が抜けた方向へのトレンドが継続します。

(8)上昇ウエッジ

価格のボトム同士を結んだ補助線(サポートライン)が右上がりの斜線になり、価格のトップ同士を結んだ補助線(レジスタンスライン)も右上がりの斜線になって、サポートラインとレジスタンスラインの延長線が交差する形を見ると、上向きの楔形三角形になっているものを上昇ウエッジと呼びます。この楔形三角形を抜けて上昇トレンドが継続します。

(9)下降ウエッジ

価格のトップ同士を結んだ補助線(レジスタンスライン)が右下がりの斜線になり、価格のボトム同士を結んだ補助線(サポートライン)も右下がりの斜線になって、レジスタンスラインとサポートラインの延長線が交差する形を見ると、下向きの楔形三角形になっているものを下降ウエッジと呼びます。この楔形三角形を透けて下降トレンドが継続します。

チャートで探してみよう

フォーメーション分析に出てくる形は、チャートのあちこちで見つけることができます。通貨を変えてみたり、時間足を変えてみたりしながら見つける練習をしてみてください。慣れれば、実践の取引の中で容易にその出現に気づけるようになります。