2017年12月に、コンビニ限定の「ゴディバ・ザ・タブレット」を販売するゴディバ。実は、ゴディバはラグジュアリーさを維持しつつ、さまざまな日本企業とコラボして新商品も打ち出しています。直営店舗の売上も上昇し続けるゴディバと日本企業のコラボは今後も注目されそうです。

ベルギー御用達ゴディバの強みは芸術性の高いショコラデザイン

1926年ベルギーのブリュッセルに誕生したゴディバ・ショコラティエ。しかしながら、1972年にアメリカのキャンベル社に買収されています。同年に東京日本橋三越にアジア初進出もしています。キャンベル社傘下の間に香港などへ進出していますが、2007年には経営方針の違いからトルコの食品会社ウルケルグループの傘下に入っています。2009年以降、シンガポールや中国へと積極的なアジア進出を果たし、2010年にはトルコへ進出。現在は世界80カ国以上に直営店を展開するグローバル企業となっています。

現在、アメリカに250店舗以上、それ以外の地域に270店舗以上の直営店を展開しています。年6回のカタログ発行やインターネットにも販路拡大をしていますが、売上の大半は直営店からとなっています。

ゴディバの主力商品といえば、やはりチョコレートです。厳選されたカカオ豆や創業者ジョゼフ・ドラップス秘伝のレシピも魅力ですが、なんといっても技術に裏打ちされた芸術性の高いデザインが強みといえるでしょう。溶かしたチョコレートでキャラメルなどを包み込むエンローピングの他、シェルモールディングと呼ばれる技法でゴディバのチョコレートは作られています。デザインの施された型にチョコレートを流し入れ、余分なチョコレートを除いたチョコレートのシェルを作る技法です。その中にフィリングを詰めることができるので、デザインだけでなく、テイストとしても複雑な高級チョコレートを作ることができるのです。

徹底したブランドイメージとターゲティング

また、ゴディバの世界展開が成功しているのは、徹底したブレンドイメージの構築と顧客の絞り込みです。ゴディバは購買層を年に6万ドルの収入を持つ高所得層の女性と明確に打ち出しています。高級なデパートに出店し、洗練されたCMで人々の購買意欲を刺激するといったマーケティング戦略も確立しているのもゴディバの特徴です。

そして近年力を入れているのが日本での商品開発です。2016年に発売されたカップ型チョコレートは、日本で開発され、奄美大島の黒蜜を使用した商品も販売しています。世界中に浸透しつつある宇治抹茶シリーズや、ソフトクリームダブルチョコレートも日本で開発されて世界へと販路を展開しています。

2017年6月からローソンは期間限定でゴディバとのコラボレーションロールケーキを販売しています。販売期間は3週間のみでしたが、初日に20万食を売り上げています。価格は395円とローソン史上最高価格のロールケーキとなりましたが、ローソンとゴディバの共同開発商品とあって順調に売上を伸ばしました。

ローソン×ゴディバのコラボレーションは、2010年から開始されています。2017年は限定商品の販売は途切れることがなく、6月のUchi Café SWEETS×GODIVAショコラロールケーキを始めとして、7月にはショコラプリン、9月にはガトーショコラやショコラタルトを提供しています。

ゴディバとの共同開発商品が発売できたのは、ローソンの親会社である三菱商事の存在があります。三菱商事がゴディバの親会社ウルケルグループとの接点があってのこと。ローソンは今後、ゴディバ以外にも三菱商事のグローバルネットワークを活用して世界的企業とのコラボレーションを計画している模様です。

限定感とSNSでの拡散の相乗効果

ゴディバとのコラボ商品に日本企業の商機あり!?ゴディバのコンビニ商品が好調なのは、やはりその限定感が一因となっています。ロールケーキの場合は3週間限定販売の予定でしたが、SNSの拡散により2週間で販売終了となりました。2017年10 月末から再び販売されますが、すでに販売前からTwitterなどで入荷時期などが拡散されています。また、ゴディバのショコラドリンクはゴールドのパッケージがインスタ映えすることで有名になりました。ストローまでゴールドという徹底した作りに、顧客満足度を引き上げているといえます。

ゴディバのチョコレートは、2011年よりセブンイレブンで販売が開始されています。直営店で販売されているチョコレート同様、ゴディバのロゴ入り紙袋が配布されること。プレゼント用に別添えで配られることもあり、購入者全員に配布されました。コンビニで販売されるアイスにも一工夫がなされており、アイスバーにはロゴが刻印されています。ゴディバというラグジュアリーブランドを日常で感じられる工夫がなされています。

5年で売上2倍を達成した立役者

限定商品とはいえ、コンビニで商品を販売すれば直営店の売上が減少するのでは?と懸念する人は少なくないでしょう。しかしながら、コンビニ商品はゴディバの知名度を引き上げ、既存店のチョコレートドリンクやアイスクリームの売上に貢献しています。2010年〜2016年までの売上高は年平均で17.6%と、コンビニスイーツを販売し始めてから上昇しています。5年でおよそ売上高2倍のスピードです。2017年には、ゴディバにとって日本が最大のマーケットとなり、益々日本の重要性が高まっています。

また、ゴディバが5年で売上2倍を達成した背景には、2010年よりゴディバ・ジャパン社長に就任したジェローム・シュシャン氏の手腕に寄るところも大きいといえます。シュシャン氏は、フランス人ですが弓道に精通しており、ビジネスにも弓道の精神を応用しています。特に、エキナカやショッピングモールといった販売チャネルの拡大は、ブランドイメージを損なう選択でもありました。社内でも反対の声が上がったそうですが、「アスピレーショナル&アクセシブル」をテーマに掲げて高級路線を維持しつつも買える場所が多い状態を実現します。

実際にコンビニでの販売も、深夜にゴディバのチョコレートが買える状況を生み出し、既存店での売上も認知度の高まりとともに伸長しています。とはいえ、その裏では1972年から日本の国内販売契約を締結していた片岡物産との契約を、2015年3月で終了するなど日本の商慣習から離反する経営も行っています。同時期に、英国バーバリー社からのライセンス契約終了となった三陽商会の例もあり、これまで片岡物産が築きあげてきたゴディバの売上や知名度を利用している状況ともいえます。ゴディバは、片岡物産との契約終了後百貨店との直営店経営に切り替えており、販売チャネルの拡大とともに今や全世界の売上の3分の1が日本での売上となっています。

映画「オリエント急行殺人事件」とのコラボも注目

経営方針の転換は気になるところですが、2017年は日本企業とのコラボだけでなく、エンタメとのコラボも注目されています。2017年12月8日から上映される「オリエント急行殺人事件」とのコラボで、直営店での限定チョコレートの販売の他、限定スリーブ付きのホットドリンクがドリンクショップで楽しめます。販売チャネル別にコラボ商品を提供するなど、顧客を飽きさせない工夫をこらしているといえるでしょう。

また、ツイッターを活用したプレゼントキャンペーンも展開しています。高級チョコレート×ミステリーという五感に訴える体験を顧客に与える、新たなコラボレーションにチャレンジしており、今後の展開も気になるところです。