前回から実際の私のFX取引をご紹介しています
目安としていた「100日足移動平均線」、「200日足移動平均線」を、2017年11月23日0:47に「ドル/円」のレートが割り込んだところで、私はドルを売り、円高を狙ったショートポジションを取りました。1ドル111円69銭からトレードが開始されたのです。すぐに55pipsまで伸ばしましたが、反発もあり、27日8:45には0pipsまで戻されます。もちろん、この間にポジション分の円を売り、ドルを買っていれば「利益確定」ということになります。55pipsであれば、1Lotの取引だと5,500円の利益、5Lotで
あれば27,500円の利益になります。(1万通貨の取引の場合)
FXではこの「ポジションの決済」のタイミングがかなり重要です
利益確定が早すぎると、もっと利益が出たはずなのに・・・と悔やむことになりますし、逆に遅すぎると利益ではなく損失が出る可能性もあります。どこまで利益が出たら確定すべきなのかは、自分で立てた月の目標に合せて検討すべきですが、「損小利大」の原則からすると、損失は事前に設定した「損切り」ラインまで(自動的に損切りされるように設定しておいたほうがいいでしょう)。利益については、できるだけ大きくしたいので勇気をもってチャレンジすることが大切になります。
今回については、私は1ドル111円を割り込むところまで円高は進むと予測してトレードしていますので、55pipsでの利益確定はありませんでした。結果として利益がゼロになっています。ただし、中長期の移動平均線が下降している状態で終値より上にあり、レートが上昇するも移動平均線に触れずに下降に転じた場合は、典型的な「売りのサイン」です。以前お伝えした「グランビルの法則」ですね。大きな「戻り売り」が期待できるわけです。私は利益が減少していく中でもじっと耐えてこの機会を待っていました。
ちなみにFXには「キャピタルゲイン」という為替相場の変動によって利益を得る方法と、「インカムゲイン」という「スワップ金利」から利益を得る方法があることを以前にお伝えしています。米国の金利の方が日本の金利よりも高く設定されていますので、ドルのショートポジションだとスワップポイントは日々マイナスが加算されていきます。0pipsでスタートに戻っただけとはいえ、その期間分のスワップポイントはマイナスです。つまり私は27日の時点でトータルはマイナスなのです。
地政学リスクや米国政策の為替相場への影響
辛抱強く待っていると、27日の夜になってついに111円台を割り込み始めます。23:00には安値の1ドル110円88銭をつけました。これで81pipsまで伸ばしたことになります。それでも私は利益確定をしませんでした。100pipsは突破できる自信があったからです。
28日に入ると反発で再び111円台を回復し、0:20には1ドル111円25銭まで「押し目買い」が入ります。44pipsまで利益は減少しました。ここで思わぬニュースが飛び込んできます。北朝鮮からミサイル発射準備の信号を感知したという報道です。市場は「リスク回避」の動きに転じます。最近ではリスク回避というと、「ドル売り、円買い」です。つまり円高ドル安に振れやすくなるのです。このときは1:40までに1ドル110円84銭までドルが売られました。これで85pipsです。
このようにサプライズがあると40pipsくらいはすぐに変動します。しかしサプライズというくらいですから、事前に予測することはとても難しいことです。ですからリスク管理には細心の注意をしなければなりません。私はここでもまだ利益確定せずに、ひたすらショートポジションを持ち続けることになります。その後は私の思惑とは逆にレートは進んでいき、111円台を回復、29日の0:20には1ドル111円47銭となり、12pipsまで利益はまた減少します。
同日の3:20には北朝鮮のICBM発射のニュースが入ります。今回のミサイル発射の目標地点はまたもや日本海です。日本列島を横断することはなかったので、Jアラートは作動していません。地政学リスクが高まったとして市場はリスク回避に動きますが、1ドル111円06銭までしかドルは下がりませんでした。
直前の高値は1:10の1ドル111円38銭でしたから、32pipsしか変動していません。実際にミサイルを発射した時よりも、ミサイル発射準備の信号を探知した時の方が、変動が大きかったことになります。市場では、北朝鮮のミサイル発射はすでに織り込み済みだったということです。こういうのを「動意薄」といいます。
しかし、4:50に市場を揺るがすニュースが飛び込みます。それは米国上院予算委員会が共和党の税制改革案を可決したというものです。上院本会議はこれからとはなるものの、米国の税制改革が前進したのは間違いありません。この「ポジティブサプライズ」に市場は大きく反応します。一気に1ドル111円64銭までドル買いは進みました。リスク回避の逆の動きとなる「リスク選好」です。直前の高値から58pipsも変動しています。
私としては米国の税制改革が軌道に乗ったら、その時点で円高に進む可能性がなくなると考えていましたので、この辺りで諦めてポジションを決済しています。実に微々たる利益で終わってしまいました。
この後、同時の夜22:35には7~9月のGDP確定値が発表され、事前予想の+3.2%や速報値の+3.0%を上回る+3.3%が示されたことで、ドル買いは加速し、1ドル112円06銭まで上がっています。さらに翌30日には1ドル112円48銭の高値をつけていますので、割り切ってポジションを決済したタイミングとしてはギリギリセーフでしたね。私はポジションを決済した後は、ドル買いの「ロングポジション」に切り替えていたので、結局トータルでプラス70pipsでした。
勝つためにはルールの徹底が不可欠だが、為替相場の分析は柔軟性も必要
このように実際の為替相場は、国際情勢によって絶えず変動していきます。大きく上昇することもあれば、大きく下降することもあります。勝つこともあれば、負けることもあるのです。勝つためのポイントは自分なりに分析してトレンドに乗ることですが、外した場合は見限るのを早めにしなければ損失が膨らみます。損失が出ている場合には自分の考えに固執せず、しっかりと損切を行いましょう。かなり内容の濃い出来事が多かったものですから、私は1週間で4度のトレードを行っていますが、本来の「スイングトレード」の場合は、利益確定100pips、損切り80pipsと決めたら後はもう何もしないぐらいに腰を据えるものです。
今回ご紹介した内容は、どちらかというと「デイトレード」気味になっていますのでご了承ください。どちらにせよ決めた損切りラインは絶対に動かしてはいけません。トータルで勝つ可能性が低くなってしまいます。これについては以前にかなり強めにお伝えしています。
為替相場は生き物ですから、ある程度の臨機応変な対応は必要なのですが、決めた目標やルールは徹底して守っていくことが、FXで勝つための一番のポイントになります。そうすればトータルでは勝てるはずです。利益を毎月安定して生み出すことができます。
それでもどうしても負けが続くようでしたら、目標や損切りのルールの見直しをしなければなりませんね。成功している人、失敗している人の話も参考にしながら組み立て直す機会も重要です。「テクニカル分析」ばかりの傾向の人は「ファンダメンタルズ分析」について勉強してみましょう。逆に「ファンダメンタルズ分析」ばかりの傾向の人は「テクニカル分析」も勉強しておくと柔軟な対応ができるようになります。