今回はトレンド相場で平均足を使う手法について紹介していこうと思います。

さて、FXで勝つために最も手早いのがトレンドに乗ることです。いわゆるトレンドフォローといわれる行動です。つまりトレンドと同じ方向でエントリーして利益を上げる方法です。

上昇トレンドであれば、買いでエントリー、下降トレンドであれば、売りでエントリーします。トレンドフォローでは、多少エントリーポイントが甘くても、トレンドの波がカバーしてくれるので、初心者でも利益が上げやすくなります。

初心者は、まずはトレンドフォローの手法を身に付けるべきという、意見はよく耳にします。

しかしながら、トレンド相場というのは、全相場のうち大きな割合を占めることはありません。というのも相場で大きな割合を占めるのはレンジ相場だからです。

その割合はレンジ相場が6割~8割、トレンド相場が2割~4割と言われています。そのため、トレンド相場であることを確実に判断することが求められます。

そのトレンドの判断を手助けしてくれるのが今回紹介する平均足です。

平均足の計算方法

まずは平均足とはどんなものなのか考えていきましょう。平均足はチャートでお馴染みのローソク足と同じ形をしていますが、計算方法は異なります。

まずローソク足について振り返っておきます。

ローソク足は4つの値によって作られます。

・始値
・高値
・安値
・終値

平均足では高値と安値はローソク足と同じものを使います。一方、ローソク足と異なるのが始値と終値です。

・始値 (一本前の平均足の始値+一本前の平均足の終値)÷2
・終値 (ローソク足の始値+ローソク足の高値+ローソク足の安値+ローソク足の終値)
÷4

平均足を使うことのメリット

平均足を使うことの最大のメリットはパッと見ただけで、トレンドの流れが分かることです。

多くの人が使うローソク足では、陰線と陽線が交錯することが多くなります。上昇トレンドであっても、ところどころ陰線が出現して、全体の流れが分かりにくいということが、特に初心者のうちには多くなります。

平均足1

チャートは上がローソク足、下が平均足です。平均足では、ローソク足に比べると、計算方法によってトレンド相場で陰線、陽線が続きやすくなります。もちろん、上昇トレンドでは陽線、下降トレンドでは陰線です。

このため、トレンドの判断が非常にしやすくなるといったメリットがあるのです。

平均足でトレンドを見極めるときのポイント

さて、平均足でトレンドを見極めるときにはどのようなポイントがあるのでしょうか。今回は上昇トレンドで考えていこうと思います。

実体の長さでトレンドの強さを判断

一口にトレンド相場といっても、その勢いや強さは様々です。より強いトレンド相場のときには、大きく稼げるチャンスと言えます。

平均足では実体と言われる部分の長さで、トレンドの強弱を判断することができます。実体が長ければ長いほど、トレンドが強いと判断できます。

また、トレンドの強さでトレンド相場の終焉を予測することも可能です。例えば上昇トレンドが発生したすぐあとは陽線の実体が長いものの、徐々に実体が短くなったとします。

陽線の実体が短くなっていくということは、上昇トレンドが弱まっていっていることを意味します。このことは上昇トレンドの終焉に近づきつつあることを意味しているのです。

ヒゲでトレンドを判断

上昇トレンドでは上ヒゲが出ることが多くなります。先ほどの計算式を思い出してほしいのですが、平均足の終値はローソク足の始値、高値、安値、終値の平均値でした。

上昇トレンドではローソク足の終値よりも平均足の終値の方が下に来ます。そのため高値と終値の差である上ヒゲが長くなる傾向にあるのです。

コマでトレンドの転換を判断

実体が短く、ヒゲが上下どちらかに伸びている足のことをコマ足と呼びます。コマ足はトレンドの転換時によく見られます。

上昇トレンドから下降トレンドへの転換の場合は上ヒゲのコマ足、下降トレンドから上昇トレンドへの転換の場合は下ヒゲのコマ足です。

これらが出現すればトレンドが転換する可能性が高くなるので、もしもポジションを持っている場合は、決済することを考える必要があります。

実際のトレード

それでは平均足を使った取引例を見ていこうと思います。

平均足2

チャートはドル円の15分足のチャートです。上がローソク足、下が平均足です。今回は黄色のラインを引いた上昇トレンドが発生している箇所での取引を考えていこうと思います。

下の平均足を見ると、上方向にヒゲが伸びていることが確認できます。これは先ほど説明したように上昇トレンドが発生しているときに出る特徴のひとつです。

平均足3

さらに、平均足の長さを見ていきます。平均足の長さは、時間が経過するに伴って徐々に短くなっていっていることが分かります。

このことから上昇トレンドが徐々に弱くなっていることが分かります。そのため、上昇トレンドが終わりに近づいていくということが平均足から読み取ることができます。

さて、それでは平均足を使ってエントリーポイントと決済ポイントについて考えていきます。

平均足4

あくまで一例ですが、上のチャートの平均足で黄色の矢印がエントリーポイント、黄緑色の矢印が決済ポイントです。

黄色の矢印では陰線のあと、陽線が出現して、上昇基調を示す長い上ヒゲが出ています。ここで買いのエントリーをすれば、その後も値上がりして利益を上げる可能性が高くなります。

エントリーした後陽線が続きますが、徐々に短くなっていきます。陰線が出たところ、黄緑色の矢印が決済ポイントになります。

平均足5

他の局面も見ていきましょう。今度はポンド円1時間足です。黄色く囲った箇所でコマと言われるトレンドの転換サインが出ていることが分かります。

コマが出現した箇所を境に、下降トレンドから上昇トレンドへとトレンドが転換していることが確認できます。

平均足6

コマが出たら、トレンド転換の可能性が高まるので、買いでエントリーする準備を始めます。先ほどと同じ要領で、陽線が出る黄色矢印の箇所でエントリーです。その後、黄緑色の矢印で陰線が出るので、ここで決済します。

以上が平均足を使った取引例でした。あくまでも取引例に過ぎないので、エントリーポイントや決済ポイントについては取引を体感しながら、感覚を掴んでいくことをお勧めします。

注意点

最後に平均足を使う取引で、押さえておきたい注意点について説明します。取引を行う上で最も注意しなければならないことは、ダマシです。

これは平均足に限ったことではありませんが、テクニカル分析を行ってエントリーサインが出たからといっても、必ずしも予想通りに値動きするとは限りません。

エントリーサインとはあくまで、エントリーすれば予想通りに動く可能性が高くなるポイントのことを指します。

平均足でいえば、ヒゲ、陰線から陽線への転換などがエントリーの基準となりますが、確実に利益が上がるとは限りません。

トータルで勝つためには、できるだけ確率を上げることが必要になります。そのためエントリーの精度をより高めていく工夫が必要になるのです。

最後に、エントリーの精度を上げるための工夫について2点紹介しておきます。

ほかのテクニカル指標を併用する

移動平均線やボリンジャーバンドなどでエントリーサインが出て、なおかつ平均足でもエントリーサインが出た時のみエントリーを行います。

平均足の中で現在値がどの位置にあるのかを確かめる

例えば、陰線が続く下降トレンドが発生しているとき、陽線が出たとします。その陽線の中で、上の方で値動きしているか下の方で値動きしているかを見極めます。

もし上の方で値動きしている場合は、その後上昇トレンドへ転換する可能性が高くなります。これらの工夫によって精度が高い取引が可能になるでしょう。