今回はHLバンドを使った逆張りの手法について説明していきます。HLバンドとはリチャード・ドンチャン氏によって開発されたトレンド系のテクニカル指標です。

HLバンドはトレンド相場で用いられることが多いものの、レンジ相場でも使うことができます。はじめにHLバンドとはどのような計算式で作られるものなのかを見ていきます。

HLバンドはH線とL線、それに中間線の3本の線から構成されます。それぞれの計算式は以下の通りです。

Hバンド:当日を含まないn日間の高値
Lバンド:当日を含まないn日間の安値
中間線:HバンドとLバンドの平均値

nは自分で設定可能です。Nは20くらいがちょうどバランスが良いと言われています。

HLバンド逆張り1

実際にチャートを見てみましょう。チャートはドル円1時間足にHLバンド(20日間)を付け加えたものです。

一番上の赤線がHバンドです。一番下の黄色線がLバンドです。そしてその間には青色の中間線があります。

これらの3つの線は先ほどの計算式によって表されたものです。これから、3つの線を使ってどのように利益を出していけばよいのか考えていこうと思います。

逆張りが適した相場とは

逆張りとは値動きの方向と反対にエントリーすることです。値上がりしているときに、売りでエントリー、値下がりしているときに、買いでエントリーするのが逆張りです。

さて、この逆張りはどのような相場で効いてくるか、つまり勝てる可能性が高くなるのかということを考えていきましょう。

逆張りは値動きと反対方向にエントリーする手法だということを考えれば、値上がりしたり値下がりしたりする相場が逆張りに適した相場と言えるでしょう。

このような相場はレンジ相場と言われます。トレンド相場のようにどちらか1方向に値動きすることはなく、相場の方向感が無い相場とも言えます。

そのため、ある程度値上がりしたら、次は値下がりします。反対にある程度値下がりしたら、次は値上がりすることが予想されます。

値上がりしたときに、売りでエントリー、値下がりしたときに、買いでエントリーすれば利益をもたらしてくれます。そのエントリーの基準に、今回紹介するHLバンドを使っていこうというわけです。

トレンド相場で逆張りというのは上昇トレンドから下降トレンドへの転換、あるいは下降トレンドから上昇トレンドへの転換点を狙えば可能です。

しかし、トレンド相場では1方向に為替レートが動いていくので、なかなかトレンドの転換を見つけるのは難しいものです。ファンダメンタルズやテクニカルでよっぽど強いトレンド転換のサインが出ているときでなければ、トレンド相場の波に飲み込まれてしまいます。

そのため、特に初心者やトレードに自信がない人が逆張りを狙うときは、レンジ相場で考えた方が得策だと言えるのです。

レンジ相場の判断

逆張りはレンジ相場で使いやすい手法であることをお伝えしました。さて、それではレンジ相場の判断はどうすればよいのでしょうか。

基本的にレンジ相場を判断するのに明確な基準はありません。おおよそ、ある一定の為替レート内で値上がりしたり、値下がりしたりしていれば、レンジ相場だと呼んでいるのです。

また、時間軸が違えばレンジ相場とトレンド相場は異なります。例えば15分足で見れば、トレンド相場のように見えても、1時間足で見ればレンジ相場になっているということもあります。

このように、こうなっていればトレンド相場、あるいはレンジ相場であるということはなく、投資家が自らの感覚や取引条件によって判断することになります。

基本的には取引する時間軸のローソク足を見て判断しますが、安値を切り上げ高値を更新していけば上昇トレンド相場、高値を切り下げ、安値を更新していけば下降トレンド相場、その値動きがなければレンジ相場です。

HLバンド逆張り2

レンジ相場では上のチャートのようになります。チャートはドル円の15分足です。途中からやや上昇トレンドの傾向はありますが、基本的には値上がりしたり値下がりしたりするレンジ相場であることがわかります。

実際の取引

次にチャートから実際の取引を見ていきます。下のチャートは先ほどのものにHLバンドを付け足し、拡大したものです。

HLバンド逆張り3

まずは取引の生命線とも言えるエントリーポイントを探っていきましょう。先ほども説明したように、逆張りでは値上がりしているものを売り、値下がりしているものを買いでエントリーします。

HLバンドを使って判断するエントリーポイントは、Hバンドに触れた場所とLバンドに触れた場所です。バンドに接触している箇所に黄緑色で丸印を付けておきました。

HLバンド逆張り4

4か所がHバンドとLバンドに接触している箇所です。接触している箇所で反発していることが確認できるはずです。

しかし、接触したからといってすぐにエントリーするのは得策とはいえません。例えば一番左の黄緑色の丸印を見てください。ここではLバンドに接触した後も、反発せずに値下がりが続いています。

もし接触した瞬間にエントリーしていれば、含み損を抱えていたことになります。つまり、接触した後、反発するのを確認してからエントリーする必要があると言えます。

一番左の黄緑色丸印の箇所を拡大して反発しているポイントを確認してみましょう。

HLバンド逆張り5

Lバンドに沿うように値下がりしていることがわかります。陰線が続き、その後1本陽線が出ました。この陽線が反発のサインと見ることができます。

さらに2本目も下ヒゲを付けて値上がりしていくことが確認できるので、黄緑色の矢印の箇所でエントリーです。その後も値上がりしていくので利益を得ることができます。

HLバンド逆張り6

次の画像は先ほどのチャートの2番目の丸印です。今度はHバンドに接触している局面です。Hバンドに接触したあと、反発したのを確認して矢印の箇所で売りエントリーです。

この場合、途中で再び値上がりするので、ほとんど利益は出せません。しかし、エントリーポイントとしては決して間違いではなく、値上がりと同時に決済すれば、損失を出すことはありません。

トータルで勝つためには

ここからは勝つための工夫を考えていきたいと思います。今回の手法はHLバンドを使う手法ですが、何らかのアレンジを加えることによって、勝率を高めていくことができます。

水平線を加える

まず思い浮かぶのはレンジ相場の上限下限に水平線を加えるということです。

HLバンド逆張り7

先ほどのチャートを見ましょう。レンジ相場の上限と下限に水平線を引きました。レンジ相場では上限と下限で反発することが非常に多くなります。

水平線を引けば、この性質を利用することができます。たとえば水平線とHバンドあるいはLバンドに接触したときのみエントリーすれば、より精度が高まるでしょう。

チャートでは、左から数えて3番目と4番目の丸印で囲った箇所が、水平線とバンドに接触している箇所です。これらの場所でエントリーすれば、いずれも利益が出ていたことになります。

損切の徹底

トータルで勝つための必須条件は損失を小さくとどめるということです。水平線とバンドに接触した箇所といっても、必ずしも反発してくれるとは限りません。

レンジの上限、あるいは下限を突き抜けて、トレンドが発生することも多々あります。そうしたときにはすぐに損切できるように準備しておく必要があります。

損切が苦手という人は、上限よりも5pipsほど上、あるいは下限よりも5pipsほど下にあらかじめ逆指値注文を入れておくことをお勧めします。

1度でも損切を怠ると大きな損失を抱えてしまう可能性があるので、「エントリーしたら、まずは損切を考える」くらいの気持ちでのぞむと良いでしょう。