J-REIT売却益や分配金の確定申告

J-REITの売却益を確定申告するかどうかは特定口座の種類で決まる

年末が近づいて来ますとJ-REITを売却したときや分配金の税金はどのように支払わなければならないのか、確定申告は行なわなければならないのかなど、初めてJ-REITに投資を行なっている人は気になると思います。そこでJ-REITの税金について述べていきます。

J-REITは株式投資と同じような申込分離課税という取り扱いになり、J-REITを売却した場合の売却益に対して復興特別所得税の0.315%を加えた15.315%の所得税と住民税5%を合わせて20.315%の税金が課税され、基本的にはこの売却益に対して確定申告を行なう必要があります。
ただJ-REITを取引するときに証券会社に開設した特定口座の種類によっては確定申告が不要になる場合もあります。具体的には特定口座を開設するときは「源泉徴収なし」と「源泉徴収あり」のどちらかを選択することになり、開設した口座の種類によって税金の差し引かれるタイミングが違ってきて、「源泉徴収あり」で特定口座を開設した場合は、J-REITを売却した時に売却益に対してリアルタイムで20.315%の税金が差し引かれます。

一方「源泉徴収なし」で特定口座を開設した場合はJ-REITを売却したタイミングでは税金が差し引かれることはなく、年度の終わり(2月16日~3月16日)に確定申告を行なってその後に税務署から支払い通知が届くことになります。そして確定申告を行なうときは、特定口座を開設した証券会社が作成した年間取引報告書を提出することになります。

株式投資の配当金に相当する分配金は確定申告を行なうべきか

株式投資を行なう際に配当金のある銘柄を選んで投資を行なうことがありますが、J-REITの場合はその配当金に当たる分配金を受け取ることが可能となっています。ただ株式投資で受け取る配当金と違うのは、J-REITの全ての銘柄から受け取ることが出来ることにあり、J-REITの場合は収益の90%程が分配金として投資主に分配されるため、株式投資の配当よりも多くの分配金を受け取ることが可能となっています。そしてその分配金を受け取ったときの税金になりますが、J-REITの分配金は株式投資の配当と同じ扱いの配当所得となっていて、申告分離課税と総合課税のどちらかを選択することが可能となっています。
申告分離課税を選んだ場合には確定申告不要制度の対象にもなっているために、分配金を受け取る際に源泉徴収されて、売却益と同じように所得税15.315%、住民税5%、合わせて20.315%の税金が課税されるために確定申告を行う必要がありません。総合課税を選んだ場合には、年度末に確定申告を行なって分配金の源泉徴収による税金の清算を行なうことになります。ただ確定申告を行なうときに課税総所得金額が一定の金額以下の場合に10%が控除される配当控除を受けることは出来ないため注意が必要になります。

J-REIT投資の確定申告で節税するためには株式投資との損失通算が有効的

年度末に確定申告を行なうか確定申告を行わないかに関わらず、基本的に利益が出たときに納税を行なう必要がありますが、もし節税出来るものであれば節税したいのも心情というものです。そこで合法的な節税方法に関して述べていきます。

その合法的な節税方法になりますが、株式投資を行なう一方でJ-REITの投資を行なっている場合で株式投資で損失を出している状態のとき、J-REITとその株式投資の損失額を合わせて確定申告を行なうことが出来ます。そしてそのことによってJ-REITの売却益や分配金の利益から生じる税金の納税額を節税することが可能となり、その節税方法を損失通算といいます。損失通算の行われ方も特定口座によって違いがあり、株式投資とJ-REIT投資を同じ「源泉徴収あり」の特定口座に開設している場合は、その証券会社によって自動的に損失通算が行われます。

一方株式投資とJ-REIT投資を同じ「源泉徴収なし」の特定口座に開設している場合は、自分で確定申告を行なう際に損失通算を行う必要があります。ただ株式投資で発生した損失は3年間繰越控除されるため、株式投資を行なって損失を出した後株式投資を行なっていなくても確定申告を行なう必要があります。具体的には前年に損失を出して当年株式投資を行わずJ-REIT投資を行なって売却益や分配金による利益が出た場合は、確定申告で損失通算を行なうことが可能となります。

このように証券会社に開設する口座の種類によって確定申告や節税の手法が変わってくるため、自分にあった納税方法を考慮して口座の開設を行なうことが重要になってきます。