深刻化する2020年問題

東京オリンピックの熱狂に沸く2020年。日本人選手団の活躍に期待したいところですが、その裏には深刻な問題も潜んでいます。人手不足に加え、開催後の不動産市況の悪化、少子高齢化による経済の縮小など、これから顕在化する問題も多々あります。今回は、2020年前後に起こることが予想される深刻な問題の分析と、株式市場への影響、その時活躍しそうな銘柄をご紹介します。

問題1 慢性的な人手不足にオリンピックへの臨時労働力移転が追い打ち

現在流通業、飲食業、建設業などを中心に深刻化している人手不足は、東京オリンピックに関連する臨時雇用やボランティア参加者の増加で一段と加速しそうです。この問題では、当面二つの対策が考えられます。一つは外国人労働者の積極採用です。すでにコンビニではどこの店に行っても、たいてい何人かは中国人留学生などの外国人スタッフが在籍しています。中国人は同じアジアで、しかも漢字文化で育っているだけに、日本と親和性が高いことから定着したのでしょう。今後も雇用対策の切り札として存在感を増しそうです。

二つ目はレジの自動化。ステータスやイメージ戦略を重視する百貨店は別として、スーパーやコンビニなど流通業界は今後レジの自動化を進め、人件費の削減と人手不足解消の一石二鳥で成長の維持を目指すことになります。

問題2 東京オリンピック後に訪れる不動産不況

オリンピック前、開催中の深刻な問題が人手不足だとしたら、開催後に訪れる問題が不動産市況の悪化です。オリンピックを中心とする都市開発を当て込んで上昇してきた不動産市況は、一気に需要が減り、空き部屋・空き物件の増加を招きそうです。住宅用物件はかなり厳しいですが、事業用のビルなどは賃料を下げることで退出を防ぐことは可能です。需要が減ることがない、都心の一等地に多く物件を持つような大手不動産会社以外は深刻な経営状況を覚悟しなければならないでしょう。

問題3 少子高齢化と人口減少で経済へのマイナス効果が顕在化

オリンピック開催という期間限定的な問題とは別に、構造的な問題として深刻なのが少子高齢化の進展と人口減少です。日本の人口は2008年をピークにすでに減少に転じています。若年人口が相対的に減ることから、重労働を必要とする業界は労働力の低下に悩まされるでしょう。今のところ、特効薬としては機械化しかありません。人型ロボットはまだ開発途上ですが、単純労働を補う産業用ロボットはすでに多くの工場で採用されています。

一方、人口減少による経済へのマイナス効果については、政府が進める外国人観光客誘致の一段の強化である程度は補える可能性があります。2016年度の訪日外国人観光客は2,403万9,000人と、2020年までに政府が目標としている2,000万人をすでに達成しています。その観光客の消費額は3兆7,476億円にも及んでおり、日本の経済成長に一定の貢献をしています。次の目標は3,000万人ともいわれ、達成なら単純に換算すると4兆6,787億円の経済効果が期待できます。

2020年問題が与える株式市場への影響は?

東京オリンピックの株式市場への影響とその時活躍する銘柄を考えるでは、2020年問題は株式市場にどのような影響を与えるのでしょうか。直接的な影響はGDP(国内総生産)の数値がどうなるかです。オリンピック終了と人口減少による経済の縮小を、訪日外国人観光客の増加が若干補う形でせめぎあう展開となりそうです。不動産市場の減退は確実ですが、逆に不動産投資に見切りをつけた投資家が、株式市場に資金をシフトさせる可能性もあります。その時日経平均がどの程度のレベルかにもよりますが、海外投資家の資金流入が続けば思ったほどの下落にはならないかもしれません。

ひとつ確実にいえることは、投資家は資金を寝かせておくわけにはいかないということです。ファンドは何らかの商品に投資して資金を運用せざるを得ないわけで、その中で最も有利なのは市場参加者が一番多い株式市場になるのは必然の理といえるでしょう。

2020年問題があっても値上がり確実な、鉄板銘柄10選

暗い見通しばかりが目立つ2020年問題ですが、ではその時ディフェンシブ的な活躍をする株にはどんな銘柄があるのでしょうか。

輸送と小売りの両面で活躍 JR東日本
東京オリンピックの経済効果は、大会運営費、宿泊・輸送・小売りなど観戦客による消費の直接効果だけで1兆円~1.3兆円といわれています。そのほとんどの部門で事業展開しているのがJR東日本。駅ナカまたは駅前という立地の有利さは断然の強みです。

渋谷再開発の大本命株 東急電鉄
東京オリンピックとともに、2020年の大きな話題は、渋谷の再開発の完了です。その渋谷に多数の物件を持つ東急グループは観光客増加の恩恵大。その中核をなす東急電鉄は渋谷再開発の大本命株といえます。特にJR渋谷駅は山手線と埼京線のホームが離れていたことで中高年に敬遠されていました。それが工事によって並列になり、構造がわかりやすくなります。今後中高年の買い物客が増えれば、東急グループの業績にもプラスになることは確実です。

オリンピック終了の反動でイベント急増も ぴあ
東京オリンピックの開催で割を食っているのが、コンサートやスポーツなどの各種イベント。大量の動員が見込める企画も、アリーナ会場をオリンピックで押さえられてしまい、開催できない事態も。オリンピック終了後はその反動で延期を余儀なくされた企画が、一気に開催に向かう可能性があります。イベント数の増加で一番恩恵を受けるのはチケット販売大手のぴあです。

労働力不足を補う機械化の切り札 ファナック
工作機械用の数値制御装置で世界首位のファナック。ロボット関連が事業比率の半分以上を占めており、これからの機械化社会でますます存在感を増すでしょう。配当性向が60%と高く、株価は長期チャートで右肩上がりを続けており、安心感があります。

あらゆる社会インフラで需要が増すFAセンサーの大手 キーエンス
工場自動化に欠かせないのが同社のFAセンサーなどの計測制御技術。世界的に評価が高く、海外比率約50%と国際化にも成功。今後も社会インフラの需要を取り込み成長が見込めます。自己資本比率は驚異の95%で、経常利益の多くが純利益になる体質も強みです。

駅前立地特化でインバウンド需要の恩恵大 ビックカメラ
訪日外国人観光客のうち、観光目的の人気の中心は浅草、京都、ディズニーランドなどですが、買い物客に人気なのは銀座、渋谷などの首都圏繁華街。中国人はじめインバウンド消費の定番である家電量販店の中でも、駅前の立地に特化しているビックカメラは安定的に需要を取り込めるでしょう。

テーマパーク淘汰の波も世界スタンダードの強み オリエンタルランド
少子高齢化の影響をまともに受けるのがテーマパーク業界(遊園地含む)。今後巨額の運営費が割に合わなくなり、淘汰が進んでいくでしょう。その時有利になるのが、ディズニーランドという世界スタンダードのテーマパークを持つオリエンタルランド。訪日外国人観光客の人気も高いことから、人口減少の影響は最小限に。リピーターを増やせば持続的成長は十分可能です。

世界戦略の先行投資が花開く ソフトバンクグループ
常に派手な買収戦略で話題を巻く、孫正義氏率いるソフトバンク。巨額な買収資金が利益を圧迫し、今ひとつ市場の評価が低い同社ですが、国内市場の縮小を見越して世界戦略に先行投資していた先見性が、2020年以降に花開くことでしょう。
●通販需要の拡大続く 楽天
高齢化社会の進展は、新たな買い物難民を増やすことから、通販需要は今後も増加が予想され、楽天には追い風に。新たな配送手段としてドローンを使った空輸の実験も行なっています。軌道に乗れば過疎地や離島など取り扱い点数の少ない地域をドローンでピンポイント輸送し、配送コストの削減につながることが期待されます。
●セキュリティ強化社会で出番が多い セコム
人口減少により今後も進みそうなのが、マンションのゴーストタウン化。高齢化社会の進展で駅近物件に人気が集中し、二等立地のマンションは住民の流出が続くでしょう。そうなると残った住民はセキュリティを強化せざるを得なくなり、セコムの契約件数が増えそうです。

これらの銘柄はその時買ったのでは遅く、今から仕込んでこそ投資効果があります。2020年問題は深刻ですが、株式市場の底力に期待し、日本経済の持続的成長を願いたいものです。

※上記記事は当該銘柄への投資を奨めるものではありません。あくまで参考程度にお考え下さい。