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2017年9月20日、音楽業界に衝撃が走りました。この日40歳の誕生日を迎えた人気女性アーティスト、安室奈美恵が公式サイトを通じて来年9月での引退を発表したのです。歌のみならず、ダンス、ファッションなど社会に与えた影響が大きいトップアーティスト引退の背景とは。そして所属レコード会社、エイベックス・グループ・ホールディングス(東証1部・証券コード7860、以下エイベックス)の業績、株価に与える影響は?

引退は長年の既定路線?40歳の節目で決意か

安室奈美恵の引退発表は、記者会見ではなく、公式サイトでファンに報告するという形で行なわれました。音楽業界やファンに大きな衝撃を与えましたが、突然の発表だっただけに、理由もさまざまな憶測を呼んでいます。しかし、公式サイトの文面に「今日は、私が長年心に思い、この25周年という節目の年に決意した事を書きたいと思います」とあることから、引退は長年考えていた既定路線であったことが伺えます。2015年にライジングプロダクションとの専属契約を終え、個人事務所stella88を設立し、最近では京都にマンションを下見に行くなど、着々と引退への準備をしていたと解釈することもできるでしょう。

また、体力的な問題を指摘する声もあります。他の歌姫、例えば宇多田ヒカルや浜崎あゆみと違うのは、安室は激しいダンスを伴う楽曲が多いということ。キレが勝負のダンスだけに、40歳を超えた今が引き際と考えたとしても不思議ではありません。

女性アーティストでは最大の活躍

安室奈美恵は、1977年9月20日生まれの40歳。1992年、ダンスグループ「SUPER MONKEY’S」のメンバーとして東芝EMIからデビューし、1995年に「TRY ME~私を信じて~」が初の大ヒット。同年にはイベント出演がきっかけで小室哲哉と出会い、レコード会社をabex traxに移します。以降小室哲哉プロデュースにより大ヒットを連発するようになり、小室グループの代表的なアーティストに成長していきます。数ある大ヒット曲の中でも1997年に発表した「CAN YOU CELEBRATE?」は約230万枚を売り上げ、オリコンチャートの年間1位を獲得。祝福ソングとして今でも結婚式などで歌われる名曲として知られています。

13年からはエイベックスグループ内に、Dimension Pointという独自レーベルを立ち上げ、現在に至っています。2017年5月31日に発売した「Just You and I」が初登場6位を記録し、23年連続トップ10入りを果たしましたが、これは人気アイドルグループV6と並び歴代1位の記録となっています。美空ひばりの時代以降では、歴代女性アーティストで最大の活躍を果たしたといっても過言ではないでしょう。安室奈美恵が与えた影響は音楽業界にとどまりません。安室のファッションやメイクなどを真似る、アムラーと呼ばれる若い女性が登場。社会現象とも呼べるブームを巻き起こし、ファッション業界や化粧品業界の売り上げにも貢献しました。

●安室奈美恵のおもな記録

・オリコンチャート1位獲得 シングル11曲、アルバム9枚
・オリコンチャート23年連続トップ10入り(歴代1位)
・「CAN YOU CELEBRATE?」がシングル売り上げ女性アーティスト1位を記録
・10、20、30歳代の3年代でミリオンセラー達成(ソロアーティストで唯一)
・「NHK紅白歌合戦」トリ
・日本レコード大賞2回(2年連続)
・日本ゴールドディスク大賞ソング・オブ・ザ・イヤー2回

引退特需発生で今期業績にはプラスとの見方も

安室奈美恵電撃引退!エイベックス株への影響は?引退発表を惜しむ声が多い一方で、安室引退をビジネスの商機にしようという動きも出ています。CDショップでは引退発表直後に安室奈美恵の専用コーナーを設置する店が続出、カラオケチェーンにおいては、安室関連の告知を行なっているメーカーも出ています。エイベックスでは早くも11月8日(水)にベストアルバム「Finally」の発売を決定、デビュー曲から2017年の最新曲までを収録する集大成ともいえる内容だけに、かなりの話題を呼びそうです。いくつかのバージョンが発売されますが、もっとも安いものでも3,780円の価格設定ですので、ミリオンセラーなら約38億円の経済効果が期待できます。

そのような背景から、エイベックスにとって長い目で見ればマイナス要因ですが、今期業績に限ればむしろ引退特需でプラスになるという見方もあります。2018年9月の引退に向けてはラストシングル、アルバムの発売も予想され、こちらもミリオンセラーは確実と思われます。今後、メディア関連を中心に引退特需が多方面の業界で発生する可能性もあり、株式市場でも折に触れ材料視されるかもしれません。

特需が期待できるおもな銘柄

そこで今回の引退特需が期待できる銘柄を挙げてみました。

エイベックス(CD・DVD発売)、ぴあ(チケット販売)、ローソン(CD・DVD販売、チケット販売)、楽天(通販)、KADOKAWA(出版)、文教堂グループホールディングス(書籍・CD・DVD販売)、ブックオフ(中古品販売、通販)、凸版印刷、大日本印刷(印刷)、コーセー(化粧品)、ヒビノ(音響機器)、東京ドーム(コンサート会場)、鉄道各社(コンサート輸送)など。

エイベックスグループの今後の展開は?

さて、エイベックスの今後の展開ですが、安室奈美恵はすでに独自レーベルのアーティストになっており、引退の影響は限定的と見られています。現在のエイベックスはライブや音楽配信など非CD分野の強化を進めています。NTTドコモと提携して「dTV」という映像配信事業に乗り出したのもその一環です。また、一時トラブルで活動を休止していたドル箱の東方神起が再始動するのもプラス要因。5大ドーム球場で14公演を予定するなど、本格的に収益に寄与しそうなことから、今期は最終大幅増益を見込んでいます。来期以降も安室引退のマイナス分をカバーすることが期待されます。

【株主優待情報】エイベックス・グループ・ホールディングス(優待獲得最低投資額:152,500円)
100株以上 a-nation(野外ライブ)チケット優先予約
300株以上 a-nationチケット優先予約+10%割引
1,000株以上 a-nationチケット優先予約+20%割引
300株以上 株主限定CD
500株以上 株主限定CDおよびDVD
100株以上 10年継続保有の株主に長期保有感謝品(1回限り)

音楽は好みがあるだけに万人向けの優待とはいえませんが、エイベックス系のアーティストが好きな株主にとっては魅力的な内容でしょう。長期保有優遇制度を実施している企業は多いですが、10年継続が条件というのは珍しいです。かつては株主総会の終了後に所属アーティストのライブが行なわれたことで話題になりました。オークションで権利を転売する株主が出たことで現在は中止され、魅力が半減した形です。それでも予想配当利回りは3.28%あり、現在の株価水準なら持っていて損のない銘柄といえます。

【株価診断】エイベックス・グループ・ホールディングス
株価 1,525円(2017年9月25日終値)
株価位置レシオ=27.3%で「安値圏」。
予想1株配当=50円
予想PER(株価収益率)=24.56倍
実績PBR(株価純資産倍率)=1.37倍

株価は、2017年1月11日に1,823円の年初来高値を付けたあと下落に転じ、6月16日に1,413円の年初来安値まで沈みました。株価位置レシオは27.3%で、半値も戻っておらず、現在も安値圏にあることから絶好の買いチャンスです。今後、安室引退特需を織り込んでじり高歩調を辿ると予想されますが、深追いは禁物。利が乗ったところは利食い売り方針で。

※「株価位置レシオ」とは、年初来高値、年初来安値と比較して、現在の株価がどの程度の位置にあるかを示す指標です。数値が高いほど高値圏、低いほど安値圏にあることがわかります。